シェアオフィス活用でコスト削減!事業拡大と人材確保につながったセブンセンスマーケティング(株)の事例とは
【Profile】
「セブンセンスマーケティング株式会社」
2020年3月設立。静岡で50年の歴史を持つ税理士法人グループ(旧アイクスグループ)、セブンセンスグループに参画しているWEBマーケティング企業。
主な事業は、WEB広告やSEO集客などのwebマーケティングや、社員のリモートワークにおける業務管理システム「みえるクラウドログ」の提供・サポート。サイト制作からその後の集客・運用まで、一気通貫でサポートできる体制があり、各社に対してオーダーメイドで支援スキームを構築し、中小企業の経営に寄り添ったサービスを提供。中小企業へのDX(デジタルトランスフォーメーション)推進をサポートする研究会、「中小企業DX推進研究会」のサイト運営を行い、中小企業へのDXに関するセミナーも実施している。
・静岡オフィス
【所在地】静岡県沼津市高島町15-5 ぬましんCOMPASS 2F
・東京オフィス
【所在地】東京都中央区銀座8-18-3 銀座加藤ビル2F
セブンセンスマーケティング株式会社
取締役社長 伊豆 雅宏(いず まさひろ)さん
1986年生まれ、静岡県沼津市出身。大学卒業後、WEBマーケティング会社にてWEBコンサルタントとして勤務。WEBマーケティングの最前線でノウハウ開発を行い続けている。2020年3月、中小企業のDX支援を行うセブンセンスマーケティング株式会社の創業に参画、取締役社長に就任。
沼津市ってどんなところ?
まずは沼津市(ぬまづし)について、沼津市産業戦略推進室 菊地(きくち)副主任にお話を伺いました。
ーー沼津市について、概要を教えてください。
沼津市は、首都圏から約100kmに位置する静岡県の東部地域にあります。
北部には富士山を仰ぐ愛鷹山(あしたかやま)南麓の丘陵地が、海沿いには約63kmにも及ぶ変化に富んだ美しい海岸線が広がっているなど、海・山・川の豊かな自然環境に恵まれています。
恵まれた立地条件を活かしたお茶やみかんなどの農業、あじの干物などの水産加工業、観光業、工作機械や電気機械などの製造業といった、裾野の広い産業構造が特徴なんですよ。
ーー現在、沼津市が抱える課題などはありますか?
沼津市の産業における総生産額は年々減少しており、特に卸売業・小売業・製造業の減少が目立ってきていますね。
また、お茶やみかんの生産、漁業などの第1次産業では、従事者の減少と高齢化が進み、後継者不足が深刻です。
沼津市では、労働力人口の減少や産業構造の変化を見据えながら、企業誘致や起業支援などによる雇用の創出、革新技術の導入による業務の効率化などを推進し、産業が元気なまちづくりを目指しています。
ーーサテライトオフィスの開設に関する支援制度やサポート体制はどのようなものがありますか?
IT事業を行うにあたり、沼津市に新たにオフィスを設置する事業者に対し、オフィスの賃借料や通信回線料などに補助金(沼津市ITオフィス等進出事業費補助)を交付しています。
また、公益社団法人静岡県宅地建物取引業協会と連携協定を結び、開設する際の候補地や施設の情報を提供しています。
【その他沼津市にサテライトオフィスを開設した企業の記事はこちら】
・ブリッジインターナショナル株式会社
・株式会社REVOLEA
・株式会社casaliz
静岡県からの手厚いサポートにより実現!沼津市にサテライトオフィスを設置したワケ
続いてサテライトオフィス設置について、セブンセンスマーケティング株式会社 取締役社長の伊豆さんと、静岡県産業イノベーション推進課の力(ちから)副班長にお話を伺います。
ーー今回セブンセンスマーケティング㈱が沼津市の「ぬましんCOMPASS」にオフィスを設置した理由を教えてください。
伊豆さん:理由は3つありまして、1つ目が「沼津駅からのアクセスの良さ」です。
ぬましんCOMPASSは駅から徒歩3分程度の距離で、東京と行き来をする弊社のサテライトオフィスとして適切な場所だと感じました。
2つ目が「創業者の沼津愛」です。
ぬましんCOMPASSのある場所は、私が高校時代から親しみを持つ「リコー通り」にあるんです。また、共同創業者の宮田の母校である沼津高専がサテライトキャンパスとして入っています。2人の創業者が共通して想いを感じられる場所、それがぬましんCOMPASSでした。
同じ故郷をもつ私と宮田は、東京で働きながらも「いつかは故郷の静岡県に貢献したい」と思っていました。
私たちが子どもの頃の沼津は「マルイ」があったり、スケートリンク施設があったり、今と比べてとても栄えていたんですね。ただここ数年、商店街はシャッターを下ろす店が増え、沼津がどんどん衰退してしまい、個人的にもつらい気持ちを抱えていたんです。
そういった背景もあり、今回サテライトオフィス開設先をぬましんCOMPASSに選ぶことが「故郷への貢献にもつながるのではないか」と考えました。
そして3つ目が「沼津信用金庫の伴走支援体制」です。
沼津信用金庫からは、営業の紹介や補助金のサポートなどをして頂いております。
私たちのような小さなベンチャー企業は、銀行の支援を取り付けることがなかなか難しく、ぬましんCOMPASSに入居することでそれらをサポート頂けることが魅力的でした。
ーーそのような理由があったのですね。検討時にはどのようなことを重視していましたか?
人とのつながりを重視していました。
ぬましんCOMPASSができたときに、静岡県東京事務所(※)や沼津エリアの先輩経営者など4,5名の方から声をかけていただいたんですね。
そういった人と人とのつながりがきっかけとなって話が動き出したので、いつかは沼津エリアにオフィスを構えたいと思っていましたが、ちょうどそれが“いま”なのだなと思い入居を決めました。
※東京事務所(ふじのくに大使館)では、県行政に必要な情報の収集や首都圏における広報、県内への企業誘致、県内の就職情報の提供などを行っている。
ーーその他に物件の購入や賃貸オフィス・レンタルオフィスなどは検討されたのでしょうか。
ほとんど調べませんでしたね。オフィス開設にあたって、静岡県の東京事務所よりサテライトオフィスに関して案内やサポートをいただいた経緯もあり、ぬましんCOMPASSほど弊社とフィットするオフィスはないと思いました。
ーーオフィスの開設には静岡県のサポートが大きく貢献しているのですね。静岡県産業イノベーション推進課の力副班長にお伺いしますが、サポート内容は具体的にどのようなものだったのでしょうか。
力副班長:具体的なサポート内容は、物件情報の提供や県内各エリアの産業構造、地域課題の説明のほか、補助金などの支援策、サポート体制に関しての案内です。東京には静岡県の東京事務所があるので、状況が許されればフェイスtoフェイスで実際に企業の要望を伺いながら話を進めていきます。
セブンセンスマーケティング(株)の場合は、現在利用いただいている「ぬましんCOMPASS」の紹介、補助金制度(沼津市ITオフィス等進出事業費補助金)を始めとする県の施策の説明などをさせていただきました。
地域に根ざしたシェアオフィス「ぬましんCOMPASS」の活用によるメリットとは
ーー現在サテライトオフィスとして利用されている「ぬましんCOMPASS」について教えてください。
伊豆さん:ぬましんCOMPASSは、沼津信用金庫が運営するシェアオフィスです。
1階にはオンラインミーティングができるワークブース、2階にはコワーキングとシェアオフィス、3階には私たちの母校である沼津高専のサテライトキャンパスなどが入っています。
ーー実際にシェアオフィスを使用する中で、どんなメリットを感じていますか?
1つは費用面です。
弊社は、東京にもオフィスがあり、東京と静岡を行き来しながら仕事をしています。
通常ですと、2拠点にオフィスを構えるのはかなりコストがかかりますが、ぬましんCOMPASSはシェアオフィスなので初期投資が少なく済みます。
月額費も安く、コストを抑えてオフィスを開設することができるのは大きな魅力でした。
2つ目は、快適な仕事環境です。
ぬましんCOMPASSの内装は、木材がふんだんに使われています。オフィスには他の会社の方もいますが、木目のブースでほど良い距離感が保たれ、自分の仕事に集中できる空気感がすごくいいなと感じています。
また、時には他社の方と情報交換ができ、新しい知見を得ることもできます。
3つ目は、利用者同士の情報交換が盛んになり仕事が増えたことです。
ぬましんCOMPASSを訪れると、違う業界の方と会うことで情報交換ができたり、お客様をご紹介いただいたりすることもあり、とてもありがたいと感じています。
もともと弊社は沼津でのネットワークを持ち合わせていなかったのですが、地域の情報を教えていただけることで、今では全体の約3割が静岡県のお客様になりました。
実際に沼津に拠点を持ったことで、地元のお客様と直接会う機会が多くなり、静岡県内のお客様も増えたことは本当に良かった点です。
東京−静岡の2拠点で活動!オフィス開設がもたらした新規顧客獲得や地元学生とのつながりとは
ーー次に、サテライトオフィスでの業務内容について教えてください。
弊社の主な事業内容は、Webマーケティングです。
サイトを実際に作成したり、そのサイトがより多くの方に届くようマーケティング戦略を考えます。
私自身は、Webマーケティングにおけるディレクション業務を担当しています。
ディレクション業務は、お客様のご要望やお悩みを聞いて、提案や調整をさせていただくものです。
沼津に拠点を持つ前から静岡県内にはお客様がいたものの、中々お会いすることができなかったことを懸念していました。今回沼津に拠点を持ったことで、直接会ってやりとりできるようになり、お客様の安心感を高められたことは本当に良かったです。
ーーぬましんCOMPASSには母校である沼津高専のサテライトキャンパスが入っていますが、学生との関わりはありますか?
沼津高専の学生に対して、キャリアアップセミナーを開催しています。
「そもそも働き方にはどんな選択肢があるのか?」
「働く上での心構えは?」
「静岡県出身の経営者として、どんな形で独立し事業を展開しているのか?」
など、さまざまな選択肢を見出してもらえるよう、直接学生と話をしています。
インターン生として一緒に働く学生も増えていて、4ヶ月を超える長期インターン受け入れのケースも出てきました。
このような形で就職してくれた学生はとても優秀ですし、何より私たちの考えに深く共感してくださっているので、モチベーションがとても高いです。
学生との交流を通じて、地元で働き先を探している学生はとても多いと認識しています。
私たちがインターンを通じて採用した方のように、地元志向の強い優秀な学生はちゃんといるんですよ。
その受け皿をしっかりと用意しておくことが重要ではないでしょうか。
コロナ以前の社会だと少し難しかったテレワークも、今は当たり前になり、場所に縛られずどこでも働けるようになりました。
そういったテレワークの広まりや、サテライトオフィス開設による学生との関わりを通じて、私たちが人材確保に困ることは無くなってきましたね。
沼津市からの充実したサポートを味方に、地域に根付いた静岡県ナンバーワンのSaaS事業を目指して
ーー今後、このサテライトオフィス(ぬましんCOMPASS)を活用した展望はいかがですか?
弊社のWebコンサルティング会社としての知名度を静岡県内で高めていきたいと思っています。
そのなかでも特に、新規事業の「みえるクラウドログ」を広めていきたいですね。
「みえるクラウドログ」というのは、テレワークをしている方の労働時間や残業時間を見える化し、セキュリティ管理により情報漏洩を防ぐシステムですが、今後この事業をどんどん静岡県内に根付かせていきたいです。
先日も、この事業に関して静岡県主催の「富士山麓産学官金連携フォーラム 2021」に出展させていただきました。そういった面でも静岡県の取り組みはありがたいと思いますね。
ーー最後にサテライトオフィスを沼津市、もしくは静岡県内に設置したいと考えている企業へメッセージをお願いします。
伊豆さん:静岡県はご飯も美味しく自然もいっぱいあるので、そういった点からみても魅力的だと思います。
実際にオフィスを開設してみて思うのですが、「沼津市ITオフィス等進出事業費補助金」など、他県と比較して、補助金制度や会社設立の支援においてとても手厚いサポートが受けられると感じています。
このように、オフィスを開設したい企業にとってメリットの多い県なので、ぜひ前向きに検討してほしいですね。
力副班長:静岡県としても、首都圏に拠点のある企業がオフィス開設を検討しやすいよう、静岡県東京事務所を窓口として、一本化されたスムーズなご案内を心がけています。
静岡県だけでなく、県内の市町や関係各所とタッグを組んで、オール静岡でお迎えして、本県進出時のみならず、進出後もサポートしていきますので、ぜひ本県への進出、オフィス開設をご検討ください。
セブンセンスマーケティング(株)がオフィスを開設した「ぬましんCOMPASS」はこちら
ぬましんCOMPASSは、沼津信用金庫が運営するシェアオフィスです。
沼津駅から徒歩5分にあり、リコー通り商店街を目の前にしたこちらのオフィスは、利便性やデザイン性に優れており、多くの市民・企業・学生などに使用されています。
木材をふんだんに使った館内は、1階にみんなの図書館「さんかく沼津」があり、2階にはシェアオフィスやコワーキングスペース、3階にはワークショップスタジオや沼津高専サテライトキャンパスがあります。
Wi-Fi完備、登記可能、ロッカーや複合機使用できるこの施設は、多くの企業が使用しています。詳しい情報は下記公式HPよりご確認ください。
運 営:沼津信用金庫
所在地:〒410-0056 静岡県沼津市高島町15-5 ぬましんCOMPASS
電 話:055-957-1010 (平日 9:00-17:00)
メール: numazu@ncompass.jp
HP :https://ncompass.jp/
アクセス:沼津駅から徒歩5分
《ライター・蓑口あずさ》