▲川根本町サテライトオフィス前での集合写真
▲川根本町サテライトオフィス前での集合写真

【Profile】
「ゾーホージャパン株式会社」
2001年に設立されたゾーホージャパンは、ゾーホーコーポレーションの子会社。インド本社で開発・製造された企業向けIT管理製品である『ManageEngine』やクラウド型ソリューションである『Zoho』を日本市場に提供している。グループ全体では10,000人以上の社員が在籍し、横浜みなとみらいにあるゾーホージャパン本社では97名の社員が勤務している。

・本社オフィス
【所在地】〒220-0012
 神奈川県横浜市西区みなとみらい三丁目6番1号 みなとみらいセンタービル13階
・川根本町サテライトオフィス
【所在地】〒428-0411
 静岡県榛原郡川根本町千頭990-5

ゾーホージャパン株式会社 川根本町サテライトオフィス責任者 「新川靖文(しんかわ やすふみ)さん」

長崎県生まれ、広島県育ちで、京都の大学へ進学し、就職後は転勤により名古屋市・長崎市・横浜市を経て東京都町田市で過ごす。国内外のメーカーで営業職を経験の後、ゾーホージャパン前社長に誘われ、2018年4月に同社へ転職。同年7月より川根本町サテライトオフィス責任者として、町内に大きな戸建てを借りて単身赴任中。川根本町では、神楽の笛、太鼓、木こり、カヌー等を体験したり、裏庭で農作業をしたりして楽しんでいる。

【ゾーホージャパン株式会社 https://www.zoho.co.jp/】

山々に囲まれた自然豊かな川根本町

▲沢山の観光資源に恵まれている川根本町
▲沢山の観光資源に恵まれている川根本町

川根本町(かわねほんちょう)は静岡県の中央部に位置し、町域の90%以上が森林という自然豊かな町で、町内には大井川(おおいがわ)が流れており、日本有数のお茶の産地である。

観光資源にも恵まれており、トリップアドバイザーが選ぶ「死ぬまでに渡りたい世界の徒歩吊り橋 10選」に選定された『夢のつり橋』や、寸又峡温泉(すまたきょうおんせん)などの温泉も有名。

また、町内を走る大井川鐵道は、年間300日以上蒸気機関車を運行しており、蒸気機関車の年間走行日数はもちろん、総走行距離や運行車両数も日本一である。奥大井湖上駅は、湖に浮かんでいるように見える秘境の駅として知られ、多くのメディアで紹介されている。


川根本町にサテライトオフィスを設置したその他の企業の記事はこちら】
株式会社経営参謀
株式会社Agrinos(アグリノス)

【川根本町の紹介ページはこちら】

町の人口減少を食い止めるため、若い人たちが働ける環境をつくりたい

▲川根本町サテライトオフィスの外観
▲川根本町サテライトオフィスの外観

――川根本町が抱える課題は何ですか?また、どのような対策を考えていますか?

川根本町観光商工課室長 服部氏:川根本町は人口が6,500人を割り込んでおり、減少が顕著となっています。生産年齢人口も減少しており、基幹産業の担い手が大きく不足している状況です。

若者は進学や就職をきっかけに川根本町を離れてしまうことが多く、なんとかそういった状況に歯止めをかけたいと思っていました。そこで、若い人の働く場所がないという状況を改善し、若い人たちが働きたいと思えるような環境をこの町につくっていこうと考え、サテライトオフィスの誘致に取り組むこととしました。


――どのようにサテライトオフィスの誘致活動を行っていましたか?

川根本町企画課室長 北村氏(以下、北村氏):我々にはサテライトオフィスの誘致に関するノウハウがなかったので、企業に対してどのようにアプローチすれば良いのか分かりませんでした。そこで、国や県のサポートの下、国の地方創生推進交付金や、静岡県の「“ふじのくに”のフロンティアを拓く取組」の支援制度を利用して、サテライトオフィスの誘致を進めていきました。

誘致する企業として、特にターゲットを定めていた訳では無いものの、ビジネスを展開する上で欠かせないITインフラを整えるために、2015年に町全体に光ファイバーの整備を実施しました。


――ゾーホージャパンを川根本町に誘致することに対して、どのような想いを抱いていましたか?

北村氏:ゾーホージャパンさんの企業理念をお聞きしたときに、とても素晴らしい企業だと感じました。我々のような小さな町がどれだけ頑張っても得られなかったような御縁だと思うのですが、静岡県さんの仲介でゾーホージャパンさんに巡り会うことができました。

川根本町に絶対にサテライトオフィスを作ってもらうんだ」という強い気持ちで、地域になるべく早く溶け込んでもらうための取り組みを全力で行いました。様々な取り組みが重なった結果、うまくいったのではないかなと思っています。

また、素晴らしい企業理念がある会社だということを川根本町の住民にも理解してもらうように努めました。その結果、住民からもゾーホージャパンさんの誘致を温かく受け入れてもらうことができました。

町民の皆様の温かい気持ちを感じられたことが大きな決め手に

▲使われなくなった温泉旅館をリノベーションした川根本町サテライトオフィス
▲使われなくなった温泉旅館をリノベーションした川根本町サテライトオフィス

――川根本町をサテライトオフィスの候補地に選んだきっかけはなんですか?

ゾーホージャパン株式会社 総務部長 松本氏(以下、松本氏):川根本町と出会うきっかけとなったのは、静岡県の方からのアプローチでした。ゾーホージャパンのお客様向け展示会に来てくださり、「サテライトオフィスを誘致しております」とお声がけいただきました。

弊社としても、地方創生やテレワークの推進を目指す上でサテライトオフィスの開設を考え始めたタイミングでしたので、詳しくお話を伺うことになり、静岡県に費用を支援していただいて現地見学会に招待していただきました。


――川根本町にサテライトオフィスを構えた理由を教えてください。

松本氏:北海道など何ヶ所か見学しましたが、その中で当社の希望に合致したのが川根本町でした。IT企業として光回線などのネットワークが整備されていることが必須条件でしたが、その点も全く問題ありませんでした。そして、何よりも誘致してくださる自治体の方の熱い想いが伝わってきたのが川根本町さんだったのです。

そのほかに川根本町に決めた大きな理由が、町民の皆さまの気持ちの温かさです。町を歩いていると、小中学生からお年寄りまで必ず挨拶をしていただけるのが本当に印象的で、川根本町は当社社員の気付きや成長にもつながる素晴らしい場所だと感じました。


――川根本町にサテライトオフィスを設置するにあたって、後押しとなった部分はありますか?

ゾーホージャパン株式会社 新川氏(以下、新川氏):川根本町の住民を社員に採用できたことは非常に大きかったです。その社員は結婚をきっかけに川根本町に移り住んできた方で、現在も働いていただいています。

弊社は地方創生に貢献したいと考えており、地域住民の方を社員として採用できることに大きな魅力を感じました。また、地域に精通している地元の方を社員として採用したことで、町とのコミュニケーションも円滑になり、非常に助かっています。

6ヶ月間の実証実験を実施し、サテライトオフィス内の通信環境や作業効率などを検証

▲川根本町サテライトオフィスでの業務風景
▲川根本町サテライトオフィスでの業務風景

――サテライトオフィス設置のためにどんな準備を行いましたか?

新川氏:サテライトオフィスを設置するにあたって、2017年11月から川根本町で実証実験を行いました。川根本町が所有する民家を無料でお借りして、業務を円滑に行うことができるのかを検証したのです。具体的には、サテライトオフィス内の通信環境で業務をスムーズに行うことができるかということや、サテライトオフィスが担当する業務を効率良く行えるのかということを検証しました。2018年4月に実証実験が無事終了し、正式に川根本町にオフィスを開設することを決めました。


――川根本町のサテライトオフィスの役割について教えてください。

新川氏:川根本町のサテライトオフィスでは、主にコールセンター業務や社員に対する技術的なサポートを行っています。川根本町のサテライトオフィスには日本人4名、インド人6名が在籍中です。
日本人スタッフは、ゾーホー事業部のコールセンターの役割を担っており、お客様からの問い合わせ電話やメールに対応しています。また、インド人スタッフは、主に横浜みなとみらいの本社に勤務する社員の技術的なサポートを行っています。

ゾーホージャパンスタッフと川根本町の住民が積極的に交流できるイベントを数多く開催!

▲サテライトオフィス開設時にゾーホージャパンが川根本町に贈ったオートリキシャ
▲サテライトオフィス開設時にゾーホージャパンが川根本町に贈ったオートリキシャ

――ゾーホージャパンが川根本町と一緒に取り組んでいることはありますか?

新川氏:ゾーホーでは、社会貢献活動のひとつとして、川根本町の高校生に向けて“ITサマーキャンプ”を開催しています。参加希望者は、2週間程インドに行って様々なプログラムに参加してもらいます。

川根本町で初めてITサマーキャンプに参加した高校生をゾーホージャパンが新卒で採用し、今年から川根本町のサテライトオフィスで勤務してもらっています。


――インド人スタッフと川根本町の住民との交流はありますか?

新川氏:川根本町にインドの文化を知ってもらうためのイベントを数多く実施しています。町のお祭りでは、インドの伝統衣装であるサリーの試着体験会や、インドの三輪タクシーであるオートリキシャの試乗会なども開催しています。

また、川根本町のサテライトオフィスにはインド人スタッフの食事を作るインド人シェフがおり、町内の飲食店を対象にインドカレーの作り方を教えてもらいました。現在、町内のいくつかの飲食店では、インド人シェフ直伝の本格インドカレーがメニューに加わっています。

都会のオフィスとは違う、自然豊かな川根本町で働くことの魅力

  ▲川根本町サテライトオフィスで業務を行っている新川さん
▲川根本町サテライトオフィスで業務を行っている新川さん

――サテライトオフィス設置のメリットについて教えてください。

新川氏:サテライトオフィスを設置して、地元の方に働いていただくことで、地域活性化に貢献できることや、静岡県や川根本町、住民の方々から多くの支援をいただき、事業運営が円滑に進んでいることは、川根本町にサテライトオフィスを設置したメリットとして感じています。

また、恵まれた自然環境の中での業務は、社員のモチベーション向上や業務の効率化にもつながっています。

社員同士のコミュニケーションにおいてもメリットは大きいです。横浜の本社で働いていたときは、仕事が終わるとすぐに帰っていましたが、サテライトオフィスでは、泊まりの出張で来た社員と、プライベートの話も含めてじっくりする時間がつくれます。都会のオフィスではできないようなことができるのも大きな魅力のひとつです。


――サテライトオフィス設置を検討している方々にメッセージをいただきたいです。

新川氏:まずは、サテライトオフィスを開設したいと思った地域に行ってみることが重要だと思います。実際に現地に行かなければ分からないことが多くありますし、気になっていることがあれば現地の人に直接聞くのが一番です。サテライトオフィス設置を検討している企業には是非、積極的にチャレンジしてほしいです。


《ライター・小町ヒロキ》