「今後は採用支援にも力を入れたい」──コミュニティマネージャー佐野港さんに聞く、コワーキングスペース「i/HUB(アイハブ)」の今とこれから

2022年12月、静岡県富士宮市にコワーキングスペース「i/HUB(アイハブ)」がオープンしました。豊富な種類の座席やカフェスペースなど、充実した設備で県内外から注目されている施設です。
運営元は労働者派遣事業などを手掛ける㈱サン・プランナー。コミュニティマネージャーを務めるのは同社の佐野港(さの みなと)さんです。施設内でイベントを開催するなど、地域におけるビジネスの創出に精力的に取り組んでいます。
「会社の人材派遣のノウハウも活かし、利用企業様の採用支援にも力を入れていきたい」と語る佐野さん。i/HUBの今後についてお聞きしました。
株式会社サン・プランナー 佐野港さん
静岡県富士市出身。2021年10月、株式会社サン・プランナー入社。障がい者の就労支援事業に携わったのち、2022年12月からコワーキングスペース「i/HUB」のコミュニティマネージャーを務める。
サテライトオフィスとしての利用も大歓迎!コワーキングスペースi/HUBの魅力
──まず、佐野さんのお仕事についてお聞かせください。
i/HUBのコミュニティマネージャーとして、地域の方々との関係構築に力を入れています。例えば、地域で開催されているイベントに顔を出してつながりを作ったりしています。i/HUBでもイベントの企画や運営を手がけて、当日参加してくださった地域の方と交流をとるようにしています。日々の仕事としては、清掃の手配や施錠、備品の発注といった施設の管理はもちろん、広報活動など様々な業務を行っています。
──コワーキングスペース「i/HUB」の特徴を教えてください。
i/HUBには利用者様が快適に過ごせる充実した設備がそろっています。特徴としては、座席の種類が豊富なことです。個室席が5席、固定席が8席、フリー席が50席、会議席が16席、防音室(テレフォンブース)が4部屋あります。
個室席は、集中したいときやオンラインミーティングに参加する際に便利なスペースです。フリー席や会議席では、仲間同士でコミュニケーションを取りながらアイデアを練ることもできます。
Wi-Fiもありますし、施設内の通信量が増加して通信速度が落ちたときのために、有線LANをお使いいただける席も用意しています。一階にはカフェスペースもあります。仕事の合間、休憩したいときなどに自由にくつろいでいただけます。ワークスペースを利用されない方もワンドリンクをご注文いただけますと、電源Wi-Fi完備のカフェとしてお気軽にお使いいただけます。
──スムーズに仕事が進められる環境ですね!他にはどんな特徴がありますか?
i/HUBは単なるワークスペースにとどまらないという点が珍しいところだと思います。特に、起業したい方向けの支援サービスに力を入れています。施設が完成した2022年12月から5年間でまずは1社のスタートアップを輩出することを目標にしています。投資家や経営コンサルティングの経験が豊富な方などにサポートメンバーに就任していただいているので、ご相談したいことがあれば、おつなぎすることも可能です。
他にも、施設の利用者様同士をおつなぎしたり、利用者様に地元企業の方を紹介したりもしています。地域の方と協力し、地域の方が個人で始められた事業の認知度を上げるために施設のスペースを提供してイベントを開催するなど、チャレンジの支援も行っています。
──実際にはどのような方が利用されているのでしょうか?
月額会員様は現在個人の方が2名いらっしゃいます。ほかにも一時利用という形で月間30名ほどのお客様にご利用いただいていており、一時利用のオトクな回数券をリピート購入される法人のお客様もいらっしゃいます。
月額会員様のうち、電気通信系の企業にお勤めの入居者様は、東京の本社には月に一度くらいの頻度で通い、基本は富士宮市のi/HUBで働く生活を送っていらっしゃいます。回数券をリピート購入してくださる企業様は、富士宮市周辺に事業所がなく、社員様が富士宮市に来られる際の拠点としてi/HUBを使っていただいています。サテライトオフィスとしてご利用いただいているということですね。このように、個人法人問わずサテライトオフィスとしてのご利用も大歓迎です!
──サテライトオフィスとしての利用を検討されている方々に向けて、i/HUBのアピールポイントがあればお聞かせください。
よくお客様からお問い合わせがあるのですが、プリンターやシュレッダーなど仕事をする上で欠かせないものは一通りそろっています。専用の駐車場もありますので、社用車などを停めていただくこともできます。
イベント開催、図書コーナー……地域においてビジネスを創出しやすくする工夫とは?
──佐野さんから見て、静岡県富士宮市とはどのようなところですか?
穏やかな方が多い地域だと思います。自然も多く、和やかな雰囲気が漂う場所です。
一方で、穏やかな中にも地域を盛り上げていきたいという熱い思いを抱く方もたくさんいらっしゃる印象があります。例えば富士宮市の井之頭地域は県外からの移住を促進しようと熱心に取り組まれていると聞きますし、 柚野地域では県内外の方々に自然の魅力を伝えようとしている方が多いそうです。
20代から50代の方が協力しながらアクティブに活動されていると感じます。私も地域のイベントに参加してみると、「あの人とあの人もつながっているんだ」と毎回驚かされるほどに横のつながりが豊富だと思います。
──意欲的な方が多いんですね。今後、富士宮市はさらに盛り上がっていきそうですね。
そうですね。様々な熱い思いをもつ方がいらっしゃるので、そうした方々を横断的につなげるような取り組みがもっと生まれてきたら面白いと思います。
──県外から進出する企業のなかには、地域とのつながりをどのように構築したらいいか悩む声も聞かれます。そのあたりのサポート体制はいかがでしょうか?
「こんなことをやってみたい」「こういう企業を探している」とご相談いただければ、関係団体とも協力の上、地域で活躍されている方や地元企業におつなぎできることがあるかと思います。
i/HUBには、地域におけるつながりを作りやすくする工夫がたくさんあります。地域のイベントを開催したり、地元企業や近くにお住まいの方が作った食品などを施設内で販売したりしているので、関係をつくるきっかけはつかみやすいと思います。
他にも、本の貸し借りができる図書コーナーがあります。私も自分の好きな小説や大きく影響を受けた本、植物関連の本を置いているのですが、気になる本を介して会話が生まれて、その延長でビジネスが始まったらいいですよね。
──いままで開催されたイベントはどのようなものだったのですか?
富士宮市のイベントクリエイターmiyagirlさんと一緒に、まだ店舗を持っていない方が出店に挑戦できる「チャレンジカフェ会」を開催しました。個人の方が手作りのアクセサリーや食品などを販売し、とても盛り上がりました。他にもスパイスカレー店やお茶を広める活動をされている方とコラボしたイベントなども開催しています。
集客にはInstagramを活用しており、投稿を見て来てくださる方が多いです。イベントに来られたi/HUBの利用者様と、イベントに出店した個人の方が名刺交換をされて、その場でこれからに向けた作戦会議が始まることもあるんですよ。
──地域の方が作った食品もi/HUB内で販売されているのですね?
例えば、富士市で茶畑を経営されている方が作ったお茶をカウンターで販売しています。先ほどお伝えした図書コーナーの利用者でもある方です。i/HUBを利用された方がお土産として買って行かれることが多くて、人気なんですよ。
最近は地域の方が作ったおはぎも販売するようになりました。この方は普段看護師として働いているのですが、空いた時間に素材からとことんこだわった健康に良いおはぎを作っているんです。そこでおはぎ作りをしっかり継続して作っていきたいという思いがあり、富士宮市の商工振興課と企画戦略課の方と一緒に、委託販売できないかと相談にきてくださったんです。
──委託販売はすぐに決まったのですか?
はい。というのも、私、そのおはぎを元々知っていたんですよ。Instagramで発信されているかわいいおはぎの様子がずっと気になっていて、2023年4月にリバティーリゾート久能山で開催されたマルシェイベント「富士宮×久能山」に遊びに行ったときに出店されていたので、食べたこともあったんです。美味しさも十分知っていましたから、お話をいただいて「ぜひ置かせてください」とお返事しました。
──佐野さんが普段から地域のイベントに積極的に顔を出しているからこそ、スムーズにお話が進んだのですね。
「今後は入居者様の雇用面もサポートしていきたい!」。i/HUBのこれから

──今後、佐野さんはどのような活動をしていきたいと考えていますか。
i/HUBをどんどん面白い施設にしていきたいです。。いずれは「この商品をちょっとi/HUBに置いてみてほしい」といったテストマーケティングもできると思います。アイデアを実験的に試せる場でありたいと思っていますので、ほかの施設にはないスピード感でできる限り様々なお手伝いをしていきたいです。
それから、これまでも取り組んできたビジネスマッチング支援に加えて、富士宮市における採用支援にも力を入れていきたいです。
──確かに、県外から進出する企業の方々からは、その地域の人材を獲得できるかどうかが不安だという意見も多いですよね。
i/HUBの運営元で私が所属しているサン・プランナーは労働者派遣事業を主力事業の一つとしています。もし雇用関係で悩まれていたら、ぜひご相談してほしいです。弊社の人材事業関連部門におつなぎするなどといった対応ができると思います。これまで蓄積されてきたノウハウを活かして、お役に立てるように頑張ります!
地域のキーパーソン・佐野さんに聞きました!
──静岡県の好きなグルメは?
富士宮焼きそばです。縁日に行ったときや飲食店でいただくこともあれば、お昼や夕飯用に自分で作って食べることもあります。まさに富士宮市のソウルフードだと思います!生しらすやみかんも大好きです。
──静岡県でおすすめ、あるいは行ってみたい場所は?
おすすめはサウナの「聖地」とも言われている「サウナしきじ」です。修行やお参りに行くような感覚で月に1回は必ず行っているんです(笑)。全身の肌との境目が分からなくなるほどのまろやかな水風呂は他では味わえません。
──オフタイムの過ごし方は?
サウナに行ったり、筋トレをしたりして過ごしています。コーヒーをハンドドリップで淹れてゆったり飲むのも好きです。
静岡県サテライトオフィス情報発信ライター・まゆ
地域のイベントに足を運んだり、地元の方と協力してイベントを開催したりと、精力的に活動されている佐野さん。ビジネスマッチング支援に加えて、採用支援もしていただけるとなれば、サテライトオフィスを開設する企業にとって大変心強いでしょう。たくさんのチャレンジをサポートしてくれるi/HUBのこれからがとても楽しみです。
【まゆ プロフィール】