▲トライビュー・イノベーション株式会社 村松社長
▲トライビュー・イノベーション株式会社 村松社長

東京都内に本社を構え、2016年に村松社長の生まれ故郷・静岡県焼津市にサテライトオフィスを構えたトライビュー・イノベーション株式会社。
民間企業の情報システムの開発や保守運用、金融機関のシステム運用支援などを行っている同社ですが、焼津では「焼津市U・Iターン支援サイト」を運用するなど、システム開発のノウハウを生かした地域支援を展開してきました。
現在は一時休止中となっている焼津のサテライトオフィスですが、再開に向けて準備を進めています。村松社長に今後の展望を伺いました。

会社概要
トライビュー・イノベーション株式会社
https://www.triview-innovation.com

・事業内容
2012年7月設立。中堅企業向けITサービス「TRUST事業」と大手企業・金融機関向けIT運用支援「ENTERPRISE事業」が二本柱で、2021年からはDXやAIに関わる新規事業も開始しています。
新型コロナウイルス感染症対策として、テレワーク制度も導入。社員が働きやすい職場づくりを進め、社員の定着率が高いことも同社の特徴です。

・本社所在地
東京都中央区日本橋人形町1-4-1 内山ビル4A

・サテライトオフィス所在地
静岡県焼津市栄町3-5-28

村松社長が2012年に立ち上げた同社は今年で創業10周年に

▲創業10周年記念式典の様子
▲創業10周年記念式典の様子

代表取締役 村松光徳(むらまつみつのり)さん
静岡県焼津市出身。神奈川県川崎市在住。60歳。
大学卒業後、約30年にわたり複数の大手システム関連会社に勤務。
2012年7月にトライビュー・イノベーション株式会社を設立。
2022年7月で創業10周年。

地元貢献の思いがサテライトオフィスの開設に

――サテライトオフィス開設の経緯、理由を教えてください。

トライビュー・イノベーションは、2012年7月、私が50歳の時に都内で設立しました。
1985年に大学を卒業して社会人になってから、生まれ育った焼津を離れていましたが、焼津には兄たちや親戚が多く暮らしており、「地元に貢献したい」という思いはずっと心に抱いていました。

兄が地元の発展に貢献する活動をしていることもあり、私自身も何かできることがないかということは以前から考えていました。


――思い入れがあった焼津市では具体的にどのような事業を始めたのでしょうか?サテライトオフィスでの事業内容を教えてください。

焼津市による若者世代の移住・定住施策の一環として、焼津の魅力を首都圏に発信するウェブサイトを作ることになり、当社がサイトの開発をすることになりました。
2015年に焼津市と契約し、2016年3月にU・Iターン支援サイト「Y’s life」(後継サイト「やいづライフ」)をリリースしました。それに合わせて、2016年2月に焼津にサテライトオフィスを開設しました。

当社ではサイトの開発に加えて、サイトのコンテンツづくりとして、実際に焼津市内の飲食店や企業を取材して動画を制作・公開することも行ってきました。

2017年には焼津市が東京で焼津の発展を応援する団体「やいづ応援団※」を作り、当社が管理・運営を行いました。応援団には1000人ほどが登録し、決起会には100人以上の人が集まって盛り上がりを見せました。

※「やいづ応援団」とは
焼津を元気にしたい!もっとPRしたい!という個人や企業が集う焼津市公式の応援団。焼津に関する様々な情報の収集・発言を主体的に取り組むコミュニティーを目指しています。市民・出身者はもちろん「焼津を応援したい」という皆様の登録も大歓迎です。


――そのような活動拠点だった焼津市のサテライトオフィスですが、現在は活動を休止していると聞いています。どうしてでしょうか?

焼津市との契約が2017年末で終了したことで、会社全体のことを考えて、一時的にサテライトオフィスを休止する判断をしました。
ピーク時には焼津のサテライトオフィスでは4人のメンバーが活動していました。メンバーの一人は、元々は東京本社で働いていたスタッフですが、サテライトオフィスを開設するにあたり、焼津に移住しました。
彼が焼津で今の奥さんと出会って結婚したことは、サテライトオフィスを開設した一つの成果です。(笑)

焼津のサテライトオフィスは3年ほど活動してきました。
現在は、活動は休止しているものの、今も拠点は残したままです。理由は、いずれ近いうちに新たな活用を準備しているためです。

行政など地元からのバックアップを最大限に活用

▲焼津市のサテライトオフィスと村松社長
▲焼津市のサテライトオフィスと村松社長

――話を少し戻しまして、焼津でサテライトオフィスを開設した時のことを伺います。サテライトオフィスが入る物件はどのようにして決めたのでしょうか?

事務所の居抜き物件があるという情報を兄から紹介を受けて決めました。
場所は、焼津駅から南に伸びる商店街の中で、焼津駅と焼津市役所の中間あたりにあります。人の動線を意識して、その場所に決めました。商店街の先に、子育て交流拠点の整備計画があったことも、決め手の一つでした。


――サテライトオフィス開設にあたって行政の支援は活用しましたか?

焼津市の政策企画課や商工課の担当者に相談しながら進めました。サテライトオフィス開設後も、行政だけでなく商工会や漁業組合など地域の団体の人たちが手厚いサポートをしてくれました。

サテライトオフィスの開設にあたっては、改修費や家賃が補助される「中心市街地空き店舗等改修事業費補助金」と「中心市街地空き店舗利活用事業補助金」を活用しました。
サテライトオフィスのスタッフは、移住に関する補助金を活用しました。

サテライトオフィス再開に向けて大切にしたいこと

▲水産業と豊かな自然が特徴の焼津市
▲水産業と豊かな自然が特徴の焼津市

――サテライトオフィスの再開を準備しているとのことですが、どのような計画でしょうか?

現在は東京本社にシステム開発機能を置いていますが、サテライトオフィスにも開発の拠点を置くことを想定しています。コミュニケーションさえしっかり取ることができれば、開発機能は東京でなくても回すことができます。首都圏でエンジニアを確保、もしくは地方で採用し、サテライトオフィスを開発拠点にして活動してもらおうと考えています。
また、地方の中小企業の中には、クラウドサービスなどを導入しても効果的な使い方がわからないという悩みを抱えた企業もあります。そのような企業に対して、直接顔を合わせて相談に乗れるようなサービスを提供することも可能になります。


――焼津で開設した時からサテライトオフィスの役割が大きく変化しそうですね。開設場所は焼津でしょうか?

焼津のサテライトオフィスの再開と合わせて、三島市など静岡県内の他の地域でのサテライトオフィスの開設も検討しています。すでに今年に入り、県内の金融機関を通してサテライトオフィスの開設について相談し始めています。静岡県でのサテライトオフィス開設のメリットは、何といってもアクセス性の良さ。
都内の本社から日帰りで対応できる利便性の高さが魅力です。


――アクセス性の良さ以外に、サテライトオフィスを開設するにあたって重視することはありますか?

行政支援の有無も判断材料の一つです。サテライトオフィスの中長期的なことを考えれば、事業の継続や新たな雇用ができる環境があることが重要です。働くスタッフの将来も考える必要がありますので、サテライトオフィスが継続できるよう行政の長期的なサポートがあるといいですね。


今度は、サテライトオフィスをエンジニアがシステム開発する拠点にしたいと考えています。
当社はエンジニアを自社雇用し、教育までしっかり行うことができるという強みがあります。エンジニアが地に足をつけて仕事ができる環境を提供していきたいと思います。
私たちも静岡県内にエンジニアの新たな雇用を生み出すことにもつなげて、地域に貢献していきます。

焼津出身の村松さんに聞きました!

①静岡県の好きなグルメは?
焼津といえば「魚介類」や「新茶」です。
特に焼津港で水揚げされる「カツオの刺身」や「黒はんぺん」のフライが好きです。

②静岡県でおすすめor行ってみたい場所は?
満観峰」や「和田浜」からの富士山の眺めがおすすめです。
富士山の眺めは感動させてくれます。
大井川に架かる木造橋「蓬莱橋」もおすすめの場所です。

③オフタイムの過ごし方は?
趣味のゴルフで静岡のコースはよく利用します。
ゴルフトーナメントにも使われる名門の静岡カントリー浜岡コースが特におすすめです。

静岡県サテライトオフィス情報発信ライター・磯部洋樹(いそべひろき)

生まれ育った故郷・焼津への思いがサテライトオフィスの開設を実現したトライビュー・イノベーション村松社長でした。
一時的にサテライトオフィスの機能は休止していますが、新たな位置づけで再開を準備されています。その時々における自社の状況、経営環境の変化に合わせて、サテライトオフィスの展開も変えていこうという柔軟な経営姿勢を感じることができました。
社員の定着率の高さにも表れているように、社員の働きやすい環境づくりのためにもサテライトオフィスの存在が貢献しているようです。
トライビュー・イノベーションさんの今後の事業展開に注目したいと思います。
【磯部洋樹プロフィール】