東京から1時間で行けるアクセスメリット!主要都市の中継点としてもオススメ 株式会社エムエフが、三島市にサテライトオフィスを構えた理由
東京都内に本社を構え、静岡県三島市にサテライトオフィスを開設した、マーケティング・リサーチ企業の株式会社エムエフ。サテライトオフィスで働くスタッフは、従前より静岡県に居住しています。東京で陣頭指揮を執る代表取締役の添野さんは、一体なぜ三島市にサテライトオフィスを構えたのでしょうか。その理由と、サテライトオフィス開設まで・現在・これからについてお話しいただきました。
<会社概要>株式会社エムエフ
https://market-facts.com/
リサーチの企画から実施、集計、レポーティングをワンストップで行う総合マーケティング・リサーチ企業。
インターネットが普及する以前より、調査員が自ら出向いて調査対象者の方とやりとりし、生の情報を収集する手法を用いてきたこと40年。インターネットでは不可能な、顧客の細かなニーズに丁寧に寄り添った、オーダーメイドでの調査を得意としています。
【東京本社】東京都中央区日本橋2-12-6
【三島センター】静岡県三島市寿町5-2 ロイヤルアウル203
<インタビュー対象者>
株式会社エムエフ 代表取締役社長 添野 公元(そえの きみもと)さん
東京都出身。株式会社電通リサーチ(現・株式会社電通マクロミルインサイト)退社後、2017年から睦産業株式会社の代表取締役、2019年6月から株式会社エムエフの代表取締役となる。
優秀なスタッフの雇用を継続するため、三島市にサテライトオフィスを開設
――サテライトオフィスを開設した理由を聞かせてください。
現在、サテライトオフィスで勤務するスタッフとの出会いが一番の理由です。以前、私が広告代理系調査会社に勤めていた際、彼らはパートナー会社のスタッフとして、静岡で働いていました。とても良い仕事をされていたので、また一緒に仕事をしたいと思い、今回ご縁があり彼らを雇用することにしました。
当初、静岡県内に居住するスタッフたちには、東京本社まで通勤してもらっていたのですが、通勤の負担を感じさせてしまっていました。もちろん、会社のコスト負担も大きい。そこで、居住する地で通勤ロスの少ない形で効率よく快適に働いて欲しいと考え、静岡でのサテライトオフィス開設を決めました。
もちろん、業務内容が遠隔作業で対応可能であったことも大きく影響しています。
――なるほど、業務内容は大きく影響しますね。貴社の事業内容をもう少し詳しく教えてください。遠隔でも作業がはかどるものなのでしょうか?
はい、私たちは一般社団法人 日本マーケティング・リサーチ協会所属のマーケティング・リサーチ事業者です。主な内容は、市場に出す前に行う商品のテストやパッケージテスト、ショッピングセンターや街中でのアンケートを実施する業務、郵送調査の運用などのWEBではないリアル調査(実地に対応した調査)を行い、そうした調査回答を処理(集計・加工)してレポートを作成する業務に従事しています。
特に調査回答処理・レポーティング業務に関しては、場所に固定されず、どの場所にいても作成することができるため、都内ではなくとも仕事ができるという点で、サテライトオフィスとの親和性は高いです。
――オフィスを開設するにあたり、静岡県内の35市町の中で三島市を選んだ理由を教えてください。
静岡の中でも、どこを拠点にするかは迷いました。スタッフの居住地に近いエリアを、と思い複数の場所を候補地にしていました。最終的に三島を選んだのは、東京からの交通の利便性が高いということでした。
――交通の利便性!なるほど。サテライトオフィスでもその点は考慮されるものなのですね。
はい。東京で勤務しているのは基本的に私と数人のスタッフです。時折サテライトオフィスへ行くことがあるため、東京から行きやすい距離と時間であることが大切でした。三島は、東京から在来線を利用しても2時間ほどで行けるし、新幹線だと1時間ほどで到着することができます。交通機関の運行本数も比較的多いことから、ストレスなく行き来できることが魅力です。また、あってはほしくないのですが、アクシデントが発生した時でも、車で向かえば、夜ならば2時間かからずに到着することができます。
――普段は互いに遠隔での業務とのことですが、それでも添野さん含めたスタッフが東京と三島を行き来することはあるのですね。添野さん含めたスタッフが直接三島へ伺うことで生まれるメリットはどんなことがありますか?
何より直接顔を合わせて仕事ができることが一番ですね。オンラインベースで仕事はできますが、対面して直接話し、ともに作業をすることは声だけではわからない空気感や温度感が伝わりますし、交流の時間も取れることで、より関係が深まると思っています。
――三島オフィスの皆さんは普段仕事をする際に、添野さんとどのようにコミュニケーションをとっていますか?気を付けていることや、工夫などを知りたい方も多いと思います。
現在、三島のオフィスには常時3名のスタッフがおります。遠隔で仕事を始めた当初は、お互いに慣れないので、コミュニケーションロスが少しありました。その都度メールや電話・WEB会議システム等でフォローをする他、私が実際三島へ足を運んで、コミュニケーションのズレを修正するなど調整をしていきました。スムーズになるまで3ヶ月ほどかかりましたが、今はもうお互いに慣れて業務をしています。
サテライトオフィスのスタッフ側からだけでなく、なるべく私を含めた本社側スタッフから積極的にコミュニケーションを取るようにしています。
また、サテライトオフィス内にチームのリーダーがいるので、サテライトオフィスで働くスタッフの意見や状況をまとめてもらい、こまめに状況を聞いています。このように仕組化したことは遠隔地で働く上でよかったことだと感じますね。
開設するために試行錯誤 補助金制度に大きく助けられる
――オフィスを開設するまでの苦労や困ったことなどはありましたか?
私は静岡のことがそこまで詳しくなかったので、サテライトオフィスを開設するにしても、そもそも何から調べていいか分かりませんでした。
インターネットの検索や、知人の不動産会社を通じて手探りで情報を調べる中で、ポータルサイト「サテライトオフィスしずおか」に出会います。そこで詳しく調べていくと「三島市サテライトオフィス等進出事業費補助金」という制度があることを知ったのです。
この補助金は、情報通信産業や産業支援サービス産業等の進出企業に、家賃や改修費、通信環境整備費、市民新規雇用の経費の一部を補助してもらえる制度なのですが、オフィス開設費用をサポートしてもらえるのは正直ありがたかったです。
サテライトオフィスとはいえ、やはり新規開設するには費用がかかりますし、こうした制度があることを知らなければ、自分で費用負担していましたね。また三島市企業立地推進課の担当者の方と出会えたことで、アドバイスを受けることができるようになりほっとしたのを覚えています。
――知らない土地で開設、となると情報を探すのも大変ですよね…。
だからこそポータルサイトである「サテライトオフィスしずおか」に、まずはアクセスして欲しいですね。思った以上に情報が出ていますし、その先に各市町の担当者が控えていますので、出会えると様々な相談ができると思います。
――現在入居している建物や施設を選んだ決め手は何だったのでしょうか?
私自身が東京と三島を行き来するため、まずは駅から近い物件であることが必須の条件でした。そういう観点で見たときに、三島は駅の近くに多くの物件が揃っていて、探す際には選択肢が充実しておりよかったです。その中で、落ち着いて静かに仕事ができる場所と、水まわりが綺麗な物件であることがさらなる決め手となり、入居オフィスを決めました。
仕事をする上で、環境やインフラが整っているとストレスなく、集中力も上がるので大事
だなと感じています。
――サテライトオフィスを開設して良かった点は?
小さな規模ではあるものの、地元での雇用を生むことができたことが良かったと思っています。地元に住む方は皆さん熱い「地元愛」を持っているんです。できることなら住む街でみんな働きたい。けれども、仕事の選択肢がそう多くはなく、ご本人に能力があっても、やむなく離職したりする方もいらっしゃいます。サテライトオフィスを開設し、仕事を首都圏から分散させることは、地域での雇用を生むと思いますね。
また、「三島市サテライトオフィス等進出事業費補助金」のサポートが手厚く、とても心強く感じています。三島市から最大3年間の家賃補助が出ます。オフィスを開設したばかりの新規事業者にとってコスト増は大きな悩みなので、こうした金銭的不安が少ないと、ずっとこの地で事業を続けたいと感じますね。
サテライトオフィス開設地として高いポテンシャルをもつ静岡。魅力を伝えて地域雇用を活性化したい
――三島にサテライトオフィスを開設してしばらく経過したと思いますが、これから静岡県内で事業拡大をしていく予定ですか?
そうですね、いつかは県内で拡大をしていきたいなという展望はあります。とはいえ、まずは今開設した三島オフィスを安定的に稼働させることを大事にしています。私たちの事業の場合は、“拠点ありき”というよりは、“適切な人材ありき”であり、その観点に紐づく形で拠点を拡大していくつもりです。よい人の縁が巡ってくれば拡大をしていきたいなと思います。
今の1番の理想は、三島オフィス自体を拡大して、さらなる雇用を生むというところでしょうか。
――サテライトオフィス同士での交流や、三島の地域の方々との出会いはありますか?
コロナ禍ということもあって、これまでは他社との接点を持つことや交流をすることを遠慮していました。ですが、この状況が少しずつ緩和されてきている2022年は、周囲の方々との関係を作っていきたいと思っています。特に地元とのつながりは大事だと思っているので、商工会のような組織に加入するのも一つの手段かなと考えています。オンラインが普及して便利になったとはいえ、人との交流や繫がりは欠かせないなと感じます。
――添野さん自身、サテライトオフィスを開設して良かったと感じますか?
はい、私はとても良かったと感じています。東京でも知人や企業家仲間に太鼓判を押しているんです。“静岡って便利だよ!”と。
――どんなおすすめをしているのですか?
何より利便性の良さを推しています。関東に限らず、東海や関西地方の中継点となりますし、サテライトオフィスを検討している人には、このアクセスメリットを感じて欲しいですね。
そしてサテライトオフィスを開設するために「サテライトオフィスしずおか」をはじめとした、県や市町からの手厚いサポートや補助金制度があることです。こんなに充実した行政はあまりないのでは?と感じます。
――こうしたメリットは、もっと周知されても良いと感じますか?
本当に感じますね。とてもよい情報や制度がありながら、まだまだ知らない人も多いと思います。だからこそ、実際に体験してきた私たちからも少しでも発信をしていくことが大事かなと思っています。
サテライトオフィスで働く添野さんに聞きました!
――静岡県の好きなグルメを教えてください!
「うなぎ」や「さかな」でしょうか。
特にうなぎの白焼きに静岡産のワサビをのせ、日本酒で一杯なんて、もう最高です!
――静岡県内のおすすめ場所や行ってみたい場所は?
三島の氏神さまの「三嶋大社」がおすすめスポットです。
他にも三島駅前にある「楽寿園」も素敵なところですが、「楽寿園正門前」に位置する「白滝公園」や「鎌倉古道」を歩き、「源兵衛川」を眺めるのもおすすめですよ。
――オフタイムには何をして過ごしていますか?
最近、子どもが生まれたばかりなので、オフの日のほとんどは子どものお世話をしています。日々の成長を身近で感じることが何より幸せです。
静岡県サテライトオフィス情報発信ライター・永見 薫(ながみ かおる)
小規模な企業さんながらも、三島市の地の利点を生かし、さらにはその土地で新たに雇用を生むことを上手になさっているなと感じました。
場所にとらわれない事業をする企業さんにとって、参考になるお話だったのではないでしょうか。
【永見 薫プロフィール】