メンバー全員が未経験でも、売上成績は全社トップ! 袋井から全国へWebマーケティングを提供する拠点の現在地(株式会社ジオコード)

2018年8月、袋井市に静岡営業所を設立した株式会社ジオコード。2021年の取材記事では、サテライトオフィス開設の経緯や袋井市を選んだ理由、優秀な人材との出会いなどについて紹介しています。今回は2回目の取材を実施し、2021年からの変化やビジネスの状況、今後の展望をお伺いしました。サテライトオフィス開設後、成果を上げ続けている成功企業のノウハウを探ります。
2021年の記事もあわせてご覧ください。
大好きな会社と一緒に故郷へ。東京・大阪に続く一手として袋井を選んだ理由とは。
【株式会社ジオコード 事業内容】
2005年設立。本社は東京都新宿区。SEO対策とWebサイト制作を融合・発展させた「オーガニックマーケティング」や、Web広告運用などのサービスを提供するWebマーケティング事業、クラウド営業管理/MAツール「ネクストSFA」などを活用したクラウドセールステック事業を展開中。DXの力で集客から受注までをワンストップでサポートし、顧客の経営を攻守両面から支援している。
▼東京本社
〒160-0022 東京都新宿区新宿4-1-6 JR新宿ミライナタワー 10F
▼関西支社
〒530-0011 大阪府大阪市北区大深町4-20 グランフロント大阪 タワーA 24F
▼静岡やらまいかデジタルラボ(旧称:静岡営業所)
〒437-0027 静岡県袋井市高尾町12-3 JR袋井駅前店舗事務所 2F
インタビュー対象者紹介

静岡やらまいかデジタルラボ所長 鈴木慎吾さん
静岡県袋井市出身。袋井市で就職後、株式会社ジオコードへ入社。営業として成果を出し、Web営業課長・関西支社長などを務めたが、東日本大震災を機に地元袋井へのUターンを決意。約7年かけて静岡やらまいかデジタルラボ(旧称:静岡営業所)を開設し、地元静岡を含めた全国のWeb広告支援、IT導入支援を手掛けている。
未経験メンバー7名で売上成績全社トップに! 静岡やらまいかデジタルラボの変化と躍進

──まず、2021年からの変化について教えてください。さっそくですが、名称が変更になっているのですね。
鈴木さん(以下、鈴木):はい。ジオコードの静岡営業所は2023年11月に、「静岡やらまいかデジタルラボ」へと名称を変更しました。東京・大阪を含め、他地域の大型広告案件を運用する機会も増え、「静岡」だけでも「営業所」だけでもない、サテライトオフィスの機能拡張が進んでいることが主な理由です。
ちなみに、「やらまいか」とは袋井市のある静岡県西部(遠州地区)の言葉で、「とにかくやってみよう」という意味。ものごとに対するチャレンジ精神や、地域貢献の意味を込めたネーミングとしました。
規模拡大に伴い、メンバーは2021年当初の2名から7名に増員。2024年9月には、「Web広告部 静岡Web広告課」が立ち上がりました。7名のメンバーは、Web広告運用をしながらお客様への報告・提案担当するWebマーケターとして活躍しています。
──課の発足、おめでとうございます! ちなみに、静岡を拠点としながらも、東京や大阪の案件を担当することがあるのですね。
鈴木:静岡にいるから、静岡の案件だけを担当するわけではないんです。案件比率は8:2で、静岡以外:静岡県内。東京本社や関西支社で受注した全国各地の案件を、ニアショア(国内の地方で業務を請け負うこと)のようなかたちで運用しています。2021年当時と比較すれば、案件数、運用金額ともに大きく伸長しましたね。
2023年度、2024年度と静岡やらまいかデジタルラボは2期連続年間達成しており日々邁進している状況となっています。
──素晴らしい実績ですね! どのような秘訣があるのでしょうか。
鈴木:強いて言えばメリハリを持った雰囲気づくりです。あとは当たり前の事を当り前に実直に行動してやっているまでです。成果を出してお客様から広告運用費を増額いただいたり、丁寧な対応で解約率を下げたり、あらゆることをメンバーがコツコツと積み重ねていった結果でしょう。
静岡やらまいかデジタルラボのメンバーは全員が広告運用未経験。当然ながら、運用者の人数や経験値は東京・大阪のほうが多いにもかかわらず、売上成績トップになれました。一人ひとりが相当な覚悟と努力を重ねなければ叶わないことだと思いますので、日々ストイックな姿勢で取り組んでくれるメンバーに感謝しています。
8割以上がリファラル採用! 静岡・袋井ならではの人材の地域性とは?

──メンバーが2名から7名に増員した現在ですが、どのような採用活動をされたのでしょうか。
鈴木:定期的に知人へ採用情報を共有しております。求人媒体は活用しているものの、7名中6名はリファラル(紹介)採用です。友だちや知り合いがいる職場のほうが興味をもってもらいやすいですし、プライベートのような柔らかい雰囲気で相談やケアができて、離職率も下がるため、当社ではリファラル採用を推奨しています。
──リファラルを含む採用面談の際、意識していることはありますか。
鈴木:IT業界、Web広告業界は往々にして、キラキラと華やかなイメージを持たれがちです。しかし、現実は社内外との密な連携や、調査・分析・戦略・設定に時間を割くなど、地道に努力する仕事でもあります。面談の際はリアルな側面も伝え、ギャップを解消するようにしていますね。
──未経験で入社することがほとんどだからこそのポイントですね。現在のメンバー構成についても教えてください。
鈴木:年齢は20代後半~30代前半あたりが平均で、第二新卒を含む若いメンバーで構成されています。前職は総合代理店・製造業、銀行、工務店、個人事業主など、さまざまですね。年齢やキャリアに関係なく、自分の軸がしっかりあるメンバーに入社してもらっています。2018年にサテライトオフィスを開設して7年、1~2人は退職者が出ていそうなタイミングですが、誰ひとり欠けることなく、大きく育ってきています。
──退職率0%は驚きの数値です。ただ、前職がここまでバラバラだと、チームをまとめ上げるのも大変だったのではないでしょうか。
鈴木:静岡県や袋井市ならではの県民性・地域性かもしれませんが、「協調性」が高いメンバーが集まっているので、チームワークには問題なく、仲良くやっています。とはいえ、毎週強制で飲み会に行くわけではなく、週に1回、近くのラーメン屋さんにみんなで行くくらいなんですけどね。付かず離れずのちょうどいい距離感です。仕事とプライベートを完全に分断するのではなく、地域の仲間と過ごす生活のなかに、仕事があるという感覚を持っています。
──ちなみに、今後の採用目標についても教えてください。
鈴木:経験者がたくさんいるわけではありませんので、まずは現状のメンバーでしっかりと土台固めをしていきたいです。そのうえで、将来的には静岡やらまいかデジタルラボの規模拡大に備え、20名くらいまで増員したいと考えています。
静岡と浜松の壁を解消? 企業コミュニティをつなげて新たなビジネスを生み出す

──ここからは静岡県内での案件獲得方法や事例についてお伺いしていきたいのですが、8割は静岡県外の案件となるのですよね。
鈴木:はい。新規のお問い合わせは東京、大阪、静岡の拠点でリソースを確認のうえ、対応チームを割り振っています。場所を問わず全国どこでも、Web商談で営業に同行する機会はありますね。
──Web商談が当たり前になった昨今ならではですね。逆に、2割にあたる静岡県内での案件はどういったところから生まれるのでしょう。
鈴木:各地域の金融機関や静岡県内の総合広告代理店、知人経由での紹介などはあります。総合広告代理店とは静岡やらまいかデジタルラボができる前から、会社として10年以上のお付き合いをさせていただいております。
また、2年ほど前から個人的に動いているのは、静岡市と浜松市の企業コミュニティをつなげる活動です。静岡県民以外はあまり印象がないかもしれませんが、昔から静岡と浜松では市民性が若干違うものなのです。これまで壁のあった二大都市をつなげてワンチームにすれば、新たなビジネスの掛け算が生まれるのではないかと思い、活動を始めました。企業同士が交流を深め、大きなビジネスが動きだしたという話を聞くと、静岡の地方創生に貢献できている気がして、うれしい気持ちになりますね。
当社もこのコミュニティをきっかけに代理店や制作パートナー企業に出会うことができました。すぐに大きな売上につながるわけではないかもしれませんが、少しずつ種まきしているものが、静岡県内で実を結んでいくことを願っております。
──目先の利益だけにとらわれず、中長期的な目線での活動もされているのですね。加えて、静岡やらまいかデジタルラボで支援した具体的な事例があれば教えてください。
鈴木:まさしく、袋井市での事例がありますね。当社では2019年から、袋井市にある14のコミュニティセンターのWebサイト立ち上げ、運用保守に携わっています。各コミュニティセンターの館長さんや担当者を集めて、サイト更新方法などのセミナーなども実施しています。地域にダイレクトに関わり、ICT活用の促進に貢献している実感が持てる瞬間です。
「0→1」から「1→10」のフェーズへ! 拡大をテーマに採用や教育を強化

──どのような企業が静岡県進出に向いていると考えられますか。
鈴木:オフィスの賃料を落として費用対効果を上げたい企業にはぴったりだと思います。たとえば当社の場合、東京本社は高額の賃料ですが、袋井では少額の賃料。そのうえで、全拠点トップになったことがあるほどの売上がありますので、非常に高い利益を生み出せています。
また、静岡県は元来ものづくりに強く、作業が丁寧な県民性です。工業系のみならず、広告デザインやクリエイティブ系の企業も相性がいいかもしれません。
──静岡進出を検討する企業に向けて、アドバイスはありますか。
鈴木:難解なサービスは持ち込まないほうがいいでしょう。せっかくいいサービスでも、聞く耳を持たれなくなってしまう可能性があります。横文字や業界用語を使うときは相手に合わせてください。たとえば、WebサイトのHTML構造の話なら、「家」に例えて話すなど、適材適所で言葉を変換して伝える企業(営業マン)は、どんな地域でもやっていけると思います。
また、都会よりコミュニティは狭く、良くも悪くも情報があっという間に広まります。なにかと気に掛けてくれる世話焼きな人も多いですが、そこを面倒くさがらず、ポジティブに変換できるようになったら強いでしょう。地域になじんでコミュニティに参加できれば、相談しやすく、助けてもらいやすい環境が整っていますよ。
──具体的なアドバイスをありがとうございます。最後に、静岡やらまいかデジタルラボの今後の展望を教えてください。
鈴木:2021年に取材を受けた際は、「0→1」のフェーズでした。現在かなり土台はできあがりつつあるため、これからは「1→10」を目指すフェーズに入ってくると考えています。2025年に掲げているテーマは「拡大」。事業所としてさらに大きく飛躍していくために、これからも人財採用や教育に注力していく予定です。公私ともに「かっこいい大人になるにはどうすべきか」考え、一人ひとりが目的意識をもった「自律型感動人間」を創出していき、直接的に地域貢献しつづけることが私の役目です。
サテライトオフィス「静岡やらまいかデジタルラボ」を開設した鈴木さんに聞きました!
① 静岡県(袋井市)の好きなグルメは?
たくさんあります! 今回は4つ紹介させてください。
・中華そば 誠
近くにあるラーメン屋さんです。イチオシは旨辛つけ麺(3辛・麺の硬さはバリカタ)です! 辛さは1辛~3辛まで選択できます。
週1回はスタッフで食べに行くお気に入りのお店で、東京のスタッフが来た際にも連れて行っています!
・まめやかふぇ
静岡県外の方が殺到中の自家焙煎珈琲豆専門店です。
・じぇらーとげんき
東京のスタッフが来た際に連れていくジェラート店です。
・さわやか 袋井本店
静岡グルメの定番、ハンバーグレストランのさわやか。袋井には本店があります!
② 静岡県(袋井市)でおすすめの場所は?
以下3つのイベントやスポットがおすすめです。
・遠州三山(法多山、可睡斎、油山寺)
「風鈴まつり」など、季節のイベントが開催されています。
・袋井まつり
10月に実施される、五穀豊穣を祝い、無病息災を願う祭事です。
・袋井温泉 和の湯
袋井市内唯一の日帰り天然温泉です。地下1500mから湧き出る温泉やサウナ、レストランなどが楽しめます。フグのから揚げは絶品です。
③ オフタイムの過ごし方は?
園芸(アガベ育成)をしたり、サッカーをしたりして過ごしています。
静岡県サテライトオフィス情報発信ライター・安光あずみ(やすみつあずみ)
「地方拠点だとWeb広告で東京や大阪ほどの売上を生み出すことは難しいだろう」という固定概念が、180度ひっくり返りました。静岡やらまいかデジタルラボの躍進を見ていると、地方でも、未経験でも、方法や努力次第では全国トップになれる可能性が十分に秘められているのではないかと思えます。
袋井市内、静岡県内を飛び出して、全国の企業へWeb広告やDXで貢献している静岡やらまいかデジタルラボ。「1→10」のフェーズを乗り越えた先にはどんな展開があるのか、5年後、10年後の姿も気になる取材となりました。
【安光あずみプロフィール】