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【Profile】
「株式会社ジオコード」
2005年に有限会社ジオコード設立、2006年に株式会社ジオコードに組織変更。
社員数約120名、継続取引顧客数約750社、そして2020年には東証JASDAQ市場に上場し、売上高約30億円となり、16期連続増収を達成。
SEO対策、リスティング広告、SNS広告、WEB制作・デザインなどをワンストップで提供するWEBマーケティングソリューション企業。
近年は、営業支援ツール「ネクストSFA」や勤怠管理、交通費・経費精算ツール「ネクストICカード」などのクラウドサービスの開発からサポートまでワンストップで手掛けている。

東京本社
【所在地】〒160-0022 東京都新宿区新宿4-1-6 JR新宿ミライナタワー 10F
関西支社
【所在地】〒530-0011 大阪府大阪市北区大深町4-20 グランフロント大阪 タワーA 24F
静岡営業所
【所在地】〒437-0027 静岡県袋井市高尾町12-3 JR袋井駅前店舗事務所 2F

事業推進部静岡営業所長兼東海エリア統括マネージャー兼地方創生プロデューサー 「鈴木慎吾(すずきしんご)さん」

静岡県袋井市(ふくろいし)で生まれ育ち、地元袋井市にて就職する。その後上京を志し、株式会社ジオコードへ入社。営業マンとしてトップの成績を出し続け、関西支社長などを務める。東日本大震災を機に地元に戻ることを決め、約7年をかけて袋井市にジオコード静岡サテライトオフィスを開設する。現在は地元企業のIT導入支援に従事している。

【株式会社ジオコード https://www.geo-code.co.jp/】

海・山・茶畑に囲まれた自然豊かな街 袋井市

▲自然に囲まれた袋井市(出典:袋井市ガイドマップ)
▲自然に囲まれた袋井市(出典:袋井市ガイドマップ)

日本のほぼ中央に位置する袋井市は、人口約8.8万人の自然豊かな街です。

街の魅力は、なんといっても山や海に囲まれた自然豊かで歴史ある街並みで、遠州三山と呼ばれている法多山(はったさん)や油山寺(ゆさんじ)、可睡齋(かすいさい)に加え、静岡の特産品であるお茶の茶畑に囲まれ、静かで落ち着いた雰囲気が魅力です。

主な産業はお茶やメロンなどの農産業、自動車部品などの製造業で、全国でもトップクラスの規模を誇る「ふくろい遠州の花火」や、約5万人が収容可能でサッカーやラグビーのワールドカップが開催された「エコパスタジアム」を有するなど、観光業にも力を入れています。

また、2021年4月に「袋井イノベーションセンター」を開設し、産官学金が連携した中小企業への支援や、行政、教育の場にインターネットやデジタルの技術を取り入れることで、子供も大人もより住みよい街を目指しています。

【袋井市の紹介ページはこちら】

「どうせ死ぬなら故郷で」震災をきっかけに見つめ直した働き方と生き方

▲袋井サテライトオフィスのプレスリリースをみて社員に応募したという辻拓真さん(右)
▲袋井サテライトオフィスのプレスリリースをみて社員に応募したという辻拓真さん(右)

――袋井市にサテライトオフィスを設置したきっかけを教えていただけますか?

きっかけは2011年の東日本大震災です。

当時、私は東京のオフィスで仕事をしていましたが、それまで考えてもいなかった東京での震災被害に、「東京で死ぬかもしれないのか…」と自分の“死”を強く意識しました。

それまでは、都会でバリバリ仕事をし続ける生き方に何の違和感も持ちませんでしたが、震災を契機に自分の幸せと働き方を見つめ直し、「どうせ死ぬなら故郷で」と思うようになり、ビジョンをつくり袋井市に戻ることを強く意識しながら行動するようになりました。


――袋井市にオフィスを開設する上で問題はありましたか?

袋井市にオフィスを開設しようとしたものの、社長には「東京と大阪に続くオフィスは名古屋!もし静岡県なら、静岡市浜松市!」と言われ、当初袋井市は、会社の第三の拠点として選択肢にさえ入っていませんでした。

でも私は、「各企業がアナログで売上を作り、WEBがあまり浸透していない袋井市だからこそできることがある」と伝え続け、弊社のサービスを袋井市役所に導入してもらうなど関係構築に努めました。

当時、第三の拠点を考える上で、都市部は需要も多い分ライバルも多いという問題がありました。袋井市役所にいくつかのサービスを導入できたことで、社長もそんな地方の可能性を認めてくれ、2018年8月に念願の袋井サテライトオフィスを開設することができたんです。


――会社として袋井市にオフィスを開設したメリット・デメリットを教えてください。

メリットとしては、新たな拠点が増えたことと、人材の流出を防いで新たな人材を確保できたことが挙げられます。

袋井サテライトオフィスの開設後すぐ、プレスリリースを見て、辻さんという優秀な人材が「一緒に袋井を盛り上げたい」と社員に応募してくれました。

地方の優秀な人材を公募なしに確保できたうえ、社長からは「優秀な人材が辞めずに残ってくれてよかった」という言葉もいただきました。デメリットは特に思い当たりません。

サテライトオフィスを通して、地域の新しい風になりたい

▲袋井サテライトオフィスの外観
▲袋井サテライトオフィスの外観

――サテライトオフィスではどのような業務を行っていますか?

私の仕事は営業コンサルタントなので、弊社のサービスを各企業へ伝えるハブのような動きをしています。新規のお客様はもちろん、既存のお客様の会社にも定期的に訪問し、その都度現状や課題などを聞いて、今後のサービスや方向性を一緒に考えています。

ただ、私の業務は営業活動ですが、もっと根本的なことを言えば、自分の仕事を通して行政や企業の考え方を変えたいと思っています。

啓蒙活動のようですが「WEBを使った新しいことや前向きな情報をどんどん広め、関わる人の考え方を変えたい」、そう思って日々働いています。


――袋井のサテライトオフィスは会社の中でどのような位置付けですか?

弊社はこれまで、首都圏や関西エリアを中心にWebマーケティングやクラウドサービスを展開してきましたが、2018年に袋井市と「ICTを活用した地方創生の推進に係る連携協定」を締結したことで、地方における取り組みへの考え方が変わりました。

袋井市におけるサテライトオフィス開設の目的は、地方の未開拓エリアにも積極的に進出し、ITやWebマーケティングの新たな需要を掘り起こしていくことです。

また、地域社会のIT化や働き方改革、営業拠点の設置による地元雇用の促進などを図り、積極的に地方創生に取り組んでいます。


――サテライトオフィスの物件はどのように探したのですか?

サテライトオフィスを探すにあたり、市役所の担当者さんにもお世話になりました。ただ、当時は市の持っている物件情報がなく、最終的にはいろいろと自分で見て探しました。

結果として、交通の便がよい袋井駅北口から徒歩1分の場所に今の物件をみつけ、かなり安い値段でお借りすることができました。


――今後、袋井市でやっていきたいことはありますか?

今後は行政が先頭に立ち、企業に背中を見せていくようなスタイルを一つの軸にしたいですね。ただ、行政だけだとどうしても時間がかかってしまう場面もある…だから企業サイドからもどんどんサービスを導入し、発展させていくつもりです。

地元での仕事を通して感じた理想と現実のギャップ

▲人との関係構築を大切にしながら、精力的に活動
▲人との関係構築を大切にしながら、精力的に活動

――実際に袋井市にサテライトオフィスを開設し、理想と現実のギャップはありましたか?

実際に静岡で仕事をしてみると、それまで働いてきた東京とは様々な面で違いがありました。例えば、サービス導入までのスピード感。これは、東京と静岡では数倍以上の差があります。

東京はビジネスファースト。でも、静岡は人ファースト。仕事をするからには一生お付き合いする感覚で、同じ土俵に立ち、同じベクトルを向き、同じタイミングで仕事をする。契約1つを取るにしても、大事にしているものが違うからこそ、静岡では時間がかかります。

だからこそ私は、一緒にお仕事をする相手とは、どんな話でもできるような関係構築を心掛けています。そうやって良い関係性を築き、いい仕事をしていけば、ここでは口コミが広まって新たな仕事に繋がっていくメリットがあるんです。


――袋井市で過ごすなかで、鈴木さん自身の幸福度に変化はありましたか?

すごく正直な話をすると、袋井市に戻ってきたことで仕事の幸福度は下がりました。

というのも東京にいた頃、営業マンとして常にトップの成績を走ってきたのですが、袋井市では、人を大事にする風土だからこそ、新規の契約をとるまでに時間がかかる。だから袋井市で仕事をしていると、東京の若い営業マンに数字で勝てないことがあって…それを悔しく感じることもあります。

ただその反面、人生に対する幸福度は上がりました。

東京では仕事ばかりしていましたが、今は祭りの青年会や自治体の奉仕活動、社団法人としての活動もあります。色々な年代の方との出会い、温かい関係性を築けること…これは東京にいたら絶対にできなかった経験で本当に感謝しています。

地方と都会を行き来できる環境や人を増やしたい

――鈴木さんは就職する際に、初めから袋井で働こうとは考えなかったのですか?

実は、ジオコードに入る前は地元にある別の会社で働いていました。その会社に入って数年が経った頃、「一度、地元の外に出てみたい」と思うようになり、上京してジオコードに入社しました。

それまでの凝り固まった固定概念が払拭され、人間としての器や視野もかなり広がったので、都会に出て本当に良かった思います。


――鈴木さんは一度都会に出て地元へ戻られましたが、仮にずっと地元で勤め上げる人生と、一度外に出て戻ってくる人生に違いはあると思いますか?

それはもう、全然違うと思いますね。新しい風を浴びると見える景色が広がり、人間として成長します。私には息子が3人いますが、必ず一度は地元を出るように勧めます。

今は袋井市での活動として、自治体サイト等の運営サポートや研修等をしています。また、若手人材の確保も模索中です。将来、静岡の若い人達が「一度は都会に出たい!」と思ったら、会社を辞めずに東京や大阪で仕事ができて、「満員電車や人に疲れた…」「人生のパートナーも見つかった!」「子供もでき、自分が生まれ育った環境で生活したい」と思ったら袋井でも仕事ができるようになれば良いと思います。地元に戻りたいけど、IT企業が無く就職先が見つからないから都会にいる人は結構多いと思います。また、都会出身で袋井市のような自然豊かな環境で仕事をしたいと思っている方も多いはずです。

東京で培ったものを静岡で生かしたり、静岡の良さを都会で広めたり…そうやって仕事ができる環境や人を増やしたいですね。

会社は家族。独立して袋井に戻るのではなく、会社ごと連れていきたかった

▲鈴木さんの愛する家族「株式会社ジオコード」
▲鈴木さんの愛する家族「株式会社ジオコード」

――鈴木さんは地元に戻るにあたり、独立は考えなかったのですか?

その質問はよく聞かれます。袋井市にサテライトオフィスを作るにあたり、社長にも「お前なぁ、そういう時はふつう会社をやめて独立するんだぞ。もうお前にはそれだけの力もあるんだし…」と言われました。

ただ、私にとってジオコードという会社は家族そのもの。
これは昔からずっとブレることのない感覚です。

社長という親父がいて、同僚という兄弟姉妹がいて、部下という子供がいて…会社を辞めて地元に戻るなんて寂しいじゃないですか。大好きなジオコードと一緒に、大好きな袋井市に戻りたかった。だから私は、会社ごと故郷に連れて帰ってきたんです。これも7年前から社内の人たち皆に伝え続けていました。


――最後にサテライトオフィスを検討している企業様にメッセージをお願いします。

もし静岡にサテライトオフィスを検討している方がいたら、私は「JUST DO IT !」と伝えたいですね。

人生は一度きり。やるっきゃないですよ。


《ライター・蓑口あずさ》