【セミナー概要】
開催日時:2025年2月26日(水)13時30分〜15時30分
場所:ぬましんCOMPASS3階(沼津市高島町15-5)
対象:静岡県内の企業
参加費:無料
参加者数:10社12名
開催形式:現地開催
主催:静岡県 知事直轄組織 総合政策課 フロンティア推進班

【セミナープログラム】
1. 静岡県担当者より県の取り組みや現状を説明
2. 高卒人材確保の取り組みについて(株式会社ジンジブ 静岡支店長 細野 舞夏氏)
3. 外国人材確保の取り組みについて(株式会社dialog 取締役 森 翔平氏)

【登壇者】
株式会社ジンジブ 静岡支店長 細野 舞夏(ほそのまいか)氏
高卒採用支援や就職後の定着支援に加え、高校生へのキャリア教育支援など、独自のノウハウと高校ネットワークを生かして手厚いサポートを全国展開。令和6年4月に静岡支店を開設し、求人ナビサイトにおける静岡県内の掲載社数は120社に急拡大(1月末時点)。

株式会社dialog 取締役 森 翔平(もりしょうへい)氏
外国人材に特化した人材紹介サービス「dialog agent」、就活サポートサービス「dialog academy」を手掛ける。宿泊・飲食を中心としたサービス業や製造業を中心に全国300社以上の取引実績。令和5年4月、静岡市にオフィスを開設。

積極的に企業誘致を進める静岡県の取り組み

▲静岡県の総合政策課 フロンティア推進班室長の三浦康星氏
▲静岡県の総合政策課 フロンティア推進班室長の三浦康星氏

セミナーに先立ち、主催する静岡県の総合政策課フロンティア推進班室長の三浦康星氏から県の取り組みとして、サテライトオフィスの開設やICT・サービス関連企業誘致による働く場所確保のための施策について説明しました。

「静岡県の人口は現在351万人となっていて、人口減少が大きな課題となっています。特に社会減が大きく、東京や名古屋に近いこともあり、若い人が就職や進学で出て行って戻ってこない」という現状を話しました。人口減少対策として、特に若者や女性の働きたい環境整備における県の取り組みを解説しました。

具体的な取り組み事例
・首都圏企業の静岡県へのサテライトオフィスの開設支援
・静岡県の魅力を発信するサイト「SHIZUKURU」の開設
・企業誘致セミナーの開催
・ICT・サービス関連企業誘致の強化

三浦氏
「令和5年から始めた『ICT・サービス関連企業誘致の強化』では、令和7年2月現在、26社の誘致に成功しています。さらに、静岡県に拠点を構えた企業の人材確保のサポートも進めていて、今回のセミナーの開催に至りました。今後も、産学官金が連携して人材確保をサポートしていきたい」

メリットの多い「高卒採用」を成功に導く!ジンジブの取り組みとは

▲株式会社ジンジブ 静岡支店長 細野 舞夏氏
▲株式会社ジンジブ 静岡支店長 細野 舞夏氏

続いて、株式会社ジンジブ 静岡支店長 細野 舞夏氏が登壇。「中小企業の若手人材不足を解決する高校新卒採用支援の導入について」と題し、高卒採用のメリットや採用活動のポイントについて説明しました。

・高卒採用の現状について
建設業と製造業は特に高卒採用との相性が良い。頑張れば評価されやすく、資格取得によるキャリアアップが明確という点が特徴。
「ジンジブ」を導入している企業の従業員規模を見ても、80%以上が従業員300人以下の企業。中小零細企業ほど、高卒新卒との相性が良い。
中小零細企業には社長と程よい距離感があり、個人の頑張りを直接評価できて成長を支援しやすい点が、Z世代や令和世代には合っている。
採用費用をかけず、毎年1〜2人を高卒採用することがゴール。

・高卒採用のメリット
まっさらな人材なので素直で教育のしやすい点がメリット。愛社精神が芽吹きやすく、幹部候補として長期戦力化が可能。
大卒採用と比べて固定費(給与)が圧縮できる分、資格・免許取得などの教育費や福利厚生の充実に充てることができる。

細野氏からは、次からの「高卒採用のルール」がとても重要だという話がありました。主なポイントは以下の3つのルールです。
1. 協定と学校の先生の重要性
高卒新卒採用には厳格な三者協定(行政、主要経済団体、学校組織)ルールがあり、その中で先生が重要なキーパーソン。先生が求人情報を生徒に紹介・推薦することになっている。
しかし、現在求人数が多すぎて先生が全てを捌くのが困難になっている。
2.求人解禁のタイミング
毎年7月1日に求人解禁。9月には面接が始まるので、わずか2カ月の短期間で就職先を決める必要がある。
3.一人一社制
高校生は応募開始から一定期間は1人1社しか応募できず、合格すると多くの生徒が就職活動は終えてしまいます。

細野氏
「学校の先生が手いっぱいで全部をできないため、当社のような民間企業が企業と学校の間に入って採用をサポートしていくことが重要になってきています」

・高校生の就職活動を支援するサービス「ジョブドラフト」の提供価値
採用活動サポートやコンサルティングのほか、「ジョブドラフトNavi」や「ジョブドラフトFes」を提供して採用支援を行っている。「ジョブドラフトNavi」は、アナログの求人票をデジタル化して求人情報を公開している。このほか、採用活動のアウトソーシング、企業ブランディング、SNS運用代行などを行っている。

会社が外国人材に選ばれるための採用方法とは

▲株式会社dialog 取締役 森 翔平氏
▲株式会社dialog 取締役 森 翔平氏

最後に、株式会社dialog 取締役 森 翔平氏が登壇。外国人材の採用の具体的取り組みや成功ポイントについて解説しました。

・外国人材市場の現状、課題
現在日本国内の外国人労働者数は、200万人超えて過去最高。主な出身国は、ベトナム、中国、フィリピン、ネパールなど。
製造業が約30%を占め、その後にサービス業、介護、建設、農業が続く。
ジェトロの2023年の調査によると、国内企業の51%がすでに外国人材の雇用をしている。内訳では、大企業が83.3%、中小企業が45.7%となっている。
課題は、言葉や文化の壁だけでなく、企業側の受け入れ体制の整備。当社のような会社が企業と外国人材の間に入り、適切な在留資格での雇用や円滑な採用選考ができるよう支援を行なっている。
政府の拡大政策として、技能実習制度の見直し、特定技能制度の拡充なども進んでいる。

森氏からは、在留資格の種類について説明がありました。主な在留資格として、「技術・人文知識・国際業務」「技能実習」「特定技能」。

さらに、在留外国人数は340万人で、国籍構成比では、中国、ベトナム、韓国で50%を占めているというと報告しました。内訳では、永住者、技能実習生、技術・人文知識・国際業務、留学生で60%強を占めています。

森氏は、外国人材採用成功ための5つのポイントを挙げました。
「認知・興味」「応募者理解」「制度理解」「選考スピード」「市場・構造理解」。
年々、日本で働きたいという外国人材は減っている。日本は選ばれなくなってきていることを念頭に、進めていく必要がある。

最後に、森氏の会社が関わった外国人材の採用事例を紹介しました。

・宿泊業・観光業(静岡)
職種:ホテルフロント、観光施設の受付
採用実績:中国人、韓国人、ミャンマー人合計3人
課題:将来的な採用難
成功ポイント:「応募者理解」人柄を中心とした総合的な採用基準、「市場・構造理解」圧倒的な財務基盤を背景とした好条件の提示

・宿泊業(熊本)
職種:ホテルフロント
採用実績:韓国人、ベトナム人合計3人
課題:地方のため応募者数が絶対的に少ない
成功ポイント:「市場・構造理解」 国内にいる外国人材だけではなく、現地から直接日本に来てもらうアプローチを行ったこと

・建設業(東京)
職種:施工管理
採用実績:ベトナム人、中国人、ミャンマー人合計6人
課題:離島で地理的に採用に不利な場所
成功ポイント:「選考スピード」 ウェブ面接1回のみで採用するフローにしたこと

ビジネスセミナー参加者の声

▲セミナー後の個別相談
▲セミナー後の個別相談

「高卒採用が難しくなってきた中で、外国人材の採用を検討しています。20〜30代の人材を採用していきたいと思います。今後、現場の工場で必要という声が上がってくれば実際に力を借りたいと思うとともに、展望が見えたのでセミナーに参加して良かったです」(製造業)

「昨年から高卒採用の活動を自社で始めたが、昨年は採用できませんでした。今回のセミナーをきっかけにアドバイスをもらいながら具体的に進めていきたいと思います。狙い通りの内容で参加して非常に良かったです」(宿泊業)

登壇者からのメッセージ

▲セミナーの様子
▲セミナーの様子

株式会社ジンジブ 静岡支店長 細野 舞夏氏

昨年の4月から静岡支店がオープンし、静岡県内での活動を強化してきましたが、改めて「地元の中小企業ほど、高卒採用に取り組んで欲しい。」と切実に感じています。
もちろん大手企業ができないことではないが、地元企業だからこそ学校教育現場とタッグを組み、採用目的以外にも、地元の子どもたちの成長に深く携わっていく必要があると考えています。
地元から愛される企業は、企業規模よりも給与などの求人条件よりも、遥かに勝る魅力を持っています。特に、高校卒業後に就職を決意している高卒新卒にとっては、ファーストキャリアとなる一社目がどれだけ大切な存在になるかは、誰もが目に見えてわかることだと思います。

私自身が、高校教師を務めていた6年間は、子どもたちへ様々な視野や視点を持ってほしくて授業以外にも、日々の生活の中から、常に周りに目を向けるよう伝えてきました。
世の中には「こんな素敵な会社がある」ことや「人々の生活を支えている大切なお仕事がある」ことを、もっと早くから、知ってほしいと感じてきました。
これに必要なのは、教員の語る表面的な授業ではなく、生の声を届けられる経営者の言葉や現場の人間です。

高卒採用における「指定校求人制度」や「一人一社制」などといった閉鎖的な選択肢だけでなく「働くとはどういうことか」を考え、職業理解の場をもっと増やしたいと強く感じています。
また、いずれこうした活動を通し高卒新卒者が自らの意思で地元企業への就職を、胸を張って進めることができる世の中の実現を日々願っています。


株式会社dialog 取締役 森 翔平氏

ご存知の通り、人口減少は日本全体の社会課題となっていますが、静岡県も例外ではなく毎年2万人以上減少し、それは県内経済の衰退と切り離せません。
私自身が静岡出身ということもあり、この状況に危機感と悲しさを感じています。静岡の興隆は地元企業の発展、適切な雇用と消費の拡大しかありえません。
外国人材の紹介を通して、県内の事業者の成長、再興に貢献したい気持ちでいます。

まずは外国人材採用についてより多くの企業様に認知・検討をしていただきたいです。
そして、日本と母国お互いの文化に敬意を払いながら、静岡県に愛着を感じていただく方のご紹介を進めていきたいと思っています。
その結果多くの企業の採用課題を解決し、活気ある静岡を取り戻したいです。

外国人材採用はハードルが高いと考えている企業様が多いのが実態ですが、制度を理解し、適切に活用することで貴社の採用課題を解決に導きます。
dialogは企業様が抱えている悩み・採用課題に寄り添い、最適な外国人材の活用方法、優秀な外国人材のご紹介をさせていただきます。是非お気軽にご相談ください!

静岡県サテライトオフィス情報発信ライター・磯部洋樹(いそべひろき)

今回のセミナーの内容は、静岡県の企業誘致や高卒採用、外国人材の活用など、多岐にわたる重要なテーマを取り上げており、非常に有意義なものでした。
まず、静岡県の企業誘致に関する取り組みについてですが、人口減少が進む中で、地元に雇用を生み出すことが求められています。特に、ICT・サービス関連企業の誘致を強化し、26社の進出に成功している点は大きな成果だと感じました。地方では働く場が限られることが若者流出の要因となっているため、こうした取り組みが続くことで、静岡県の経済活性化につながることを期待します。
また、高卒採用に関するジンジブの取り組みについても非常に興味深いものでした。特に「高卒新卒採用は中小企業にとって非常に相性が良い」という点には納得しました。若手人材の確保が難しくなっている中で、高卒採用を上手に活用すれば、長期的に企業の成長につなげることができると感じました。
さらに、外国人材の採用についても、新たな人材確保の方法として注目すべき内容でした。特に、外国人労働者が日本を選ばなくなっているという指摘は衝撃的でした。日本が国際的な人材市場で競争力を持つためには、企業側の受け入れ体制をより強化し、働きやすい環境を整備する必要があると感じました。
実際に参加者に話を聞いても、多くの企業が採用難に直面し、解決策を模索していることが伝わってきました。今後もこのようなセミナーを通じて、企業の採用活動のヒントとなる情報が共有されることを期待しています。