静岡県でバスケットボールの普及を。自然豊かな南伊豆町のサテライトオフィスを拠点に!

東京都に本社を置き、2022年4月に静岡県南伊豆町にサテライトオフィスを開設した一般社団法人スポーツフォース。最近盛り上がりを見せているバスケットボールを始め、スポーツの分野で普及活動や人材育成の取組を続けています。
伊豆半島の先端にある南伊豆町にサテライトオフィスを構えた背景や実情、そして今後の展望について、スポーツフォース代表理事の山崎誠一さんにお話を伺いました。
会社概要
一般社団法人スポーツフォース
http://sportsforce.jp
・事業内容
2013年10月設立。東京都内でバスケットボールの大会やスクールを運営する「BASKETBALL CLUB DUNK」の運営管理、小学生向けの英語とバスケットボールを学ぶクラス、中高生が上の世代と練習や試合をする機会を提供するクラス、海外挑戦や留学支援の活動を行う。
また、バスケットボールに限らず、スポーツ全般におけるイベント企画・運営やPR支援を行う。
・本社所在地 東京都中央区新川1-3-21
・サテライトオフィス所在地 静岡県賀茂郡南伊豆町湊781
インタビュー対象者紹介
代表理事 山崎誠一(やまざき せいいち)さん
東京都出身。1980年生まれ。
小学生から大学生時代までバスケットボール選手として活躍。大学卒業後は国内のプロバスケットボールチームのスクールコーチを続けながら、野球関連のメディア事業にも携わる。
2013年に一般社団法人スポーツフォースを立ち上げて現在に至る。
バスケ人気が追い風に?!普及と育成を目指して創業10年

――事業内容を教えてください。
2013年、33歳の時にスポーツフォースを立ち上げました。今年で創業10年を迎えたところです。大学を卒業して社会人になってからもずっとバスケットボールに関わってきた中で、誰でも気軽にバスケットボールを楽しめる場所を提供したいという思いで活動を始めました。
現在の事業は、バスケットボールの大会を企画・運営することと、バスケットボール経験の浅い社会人や女性でも通えるスクールの運営などを行っています。
――創業の背景をもう少し詳しく教えてください。
自分が子供の頃は、ちょうど「スラムダンク」の漫画や「マイケル・ジョーダン」が人気で、バスケットボールの競技人口がとても多い世代でした。
最近では、バスケットボールワールドカップにおける日本代表の活躍や「スラムダンク」の映画がヒットしたことで再び盛り上がっていますが、10年ほど前までは国内のバスケットボールリーグは低迷していました。プレーする環境も未整備で、リーグのプロ化が課題でした。
そのような状況において、初心者でも気軽にバスケットボールを始められて、生涯バスケを楽しめる環境を作りたいという思いでスポーツフォースを創業しました。
サテライトオフィスは南伊豆町の「自然環境」が決め手に

――サテライトオフィスはどのような経緯で開設されたのでしょうか?
当社では、山梨や千葉など都内から行きやすい場所で年間2回ほど社会人チームの合宿運営事業を行っています。アクセス性の良い静岡県にも合宿地として活動の幅を広げたいと考えました。
サテライトオフィスを構えることで、地域に根ざした活動にもつなげたいという思いもありました。
――サテライトオフィスの場所に静岡・南伊豆を選んだのは?
まず静岡県を選んだのは、首都圏から近く、車で行き来できるという理由です。合宿は荷物が多くなるので、飛行機や電車よりも車での移動が好都合です。
南伊豆町を選んだのは、個人的に趣味のサーフィンなどで伊豆地域にはよく訪れていて、自然環境が気に入っていたからです。団体のメンバーにもこの自然を味わってもらいたいと思いました。
また、南伊豆町役場の担当者がサテライトオフィスの誘致に積極的だったということも挙げられます。首都圏から南伊豆町にUターンした担当者で、都会と地方の両方の感覚を持っていたので、近い距離感で話をすることができました。
結果として、2022年4月にサテライトオフィスを開設することができました。
仕事も遊びも満喫できるサテライトオフィス環境!

――サテライトオフィス開設にあたって、どのような行政サポートがありましたか?
「南伊豆町サテライトオフィス等設置支援事業補助金」を開設の初期費用として利用しました。
また、南伊豆町からの紹介で、町内にある旧杉並区職員宿舎を活用したサテライトオフィス誘致プロジェクトに参加し、そこにサテライトオフィスを構えることにしました。
※南伊豆町サテライトオフィス等設置支援事業補助金について
町内に新たな仕事を創出し、地域経済の活性化及び地域雇用の促進を図るため、町の指定する施設を利用してサテライトオフィス等を開設・運営する静岡県外の企業等に対し、予算の範囲内において補助金を交付するものです。
――旧杉並区職員宿舎とはどのような施設でしょうか?
3階建ての建物で、2・3階に入居する企業の専有スペースがあります。部屋は1LDKの間取りで、広さは約40平方メートルです。1階に共有スペースがあります。
――サテライトオフィスはどのような使い方をしていますか?
現在は、私や団体メンバーが都内のオフィスを離れて、自然に囲まれた環境で仕事をするワーケーション的な使い方をしています。夏の期間に15日ほどサテライトオフィスを仕事場として打ち合わせやパソコン業務で使用し、仕事の合間に近くのきれいな海でサーフィンやシュノーケリング、サップ、釣りなどマリンアクティビティーを楽しんでいます。
良いことが多い反面、地方ならでは課題に直面することも

――南伊豆町にサテライトオフィスを設置して良かったことを教えてください。
私たちはスポーツ事業の団体であり、体を動かすことが好きなメンバーが多いため、マリンアクティビティーなどが気軽に楽しめる環境があることが良かったです。南伊豆は、自然環境やおいしい食べ物にも恵まれています。
地域には、当初の想像以上に移住者や二拠点居住者、ワーケーション利用者が多くいるという発見がありました。似たような感覚で、新しい人間関係が作れることを実感しています。サテライトオフィスに来た時には、地域の店に顔を出したり、一緒にアクティビティを楽しんだりして、コミュニケーションを図るようにしています。
――一方で苦労していること、今後地域や行政に望むことはありますか?
合宿で来た時には、近くに宿泊施設がいくつもあって便利ですが、南伊豆町には近くに体育館がなく、下田市など近隣の体育館を使っています。
今後、20〜30人規模の合宿や大会を静岡県内でも実施したいと思っているので、施設の情報共有において静岡東部や伊豆の行政が広域的な連携をしてくれて、うまく施設を利用できるようになればうれしいです。
また、地元でイベントを開催しようと思った時に、イベント企画や運営などこちらが求める役割を担えるような人材がいないケースもあります。行政もさらに移住を後押しして、さまざまな経験を持った人が集まってくる地域になってほしいと思います。
バスケットボールの普及とサテライトオフィスの展望について

――南伊豆町のサテライトオフィスの今後の展望を教えてください。
団体のメンバーや合宿で首都圏から南伊豆を訪れた人たちは、南伊豆の環境を気に入って、「また来たい」という声が多いです。
今後さらに地域が活性化していくためにも、同業者を含めて多くの人に南伊豆のサテライトオフィスの良さをアピールして、リモートワークやワーケーションなどでの活用を薦めていきたいと思います。
合宿等で訪れた方と地元のバスケットボールチームとの練習や試合を組むなど、交流も図っていければと考えています。
――バスケットボール業界におけるスポーツフォースとしての今後の展開を教えてください。
バスケットボールのワールドカップによってバスケットボールも再び盛り上がり、今後はBリーグ(日本のプロバスケットボールリーグ)や日本代表の活動もさらに注目されることが期待できます。
私たちとしては、この盛り上がりを社会人クラブや子どもたちのチームにも波及させていくことが重要だと思います。
大会やスクール、イベントなどの活動の幅を広げて、将来的に大きなチームや3人制チームを持つことなども視野に入れて活動していきたいと思います。
――サテライトオフィス開設を検討する方へのアドバイスをお願いします。
それぞれの地域にその地域ならではの良さがあると思います。駅近がいいのか遠隔地がいいのか、どのような施設を求めているかなど、自社にあった場所を探した方が良いでしょう。
まずは短期間でもリモートワークやワーケーションで体験してみて、サテライトオフィスを開設した時のイメージを持ってみてはいかがでしょうか。
サテライトオフィスで働く山崎さんに聞きました!
①静岡県の好きなグルメは?
好きな食べ物はいろいろありますが、特に金目鯛、サザエ、干物などはお薦めです。
道の駅に寄って地元の特産品を見るのも好きです。
下田にあるスタンディングバー「SOI8(ソイハチ)」はお気に入りのお店です。
②静岡県でおすすめor行ってみたい場所は?
Bリーグに所属するプロバスケットボールチーム「ベルテックス静岡」のホームアリーナに行ってみたいです。
③オフタイムの過ごし方は?
下田の多々戸浜や白浜でサーフィンをしています。
同業者や会社メンバーなどと一緒に伊豆の自然の中でアクティビティを楽しんでいます。


静岡県サテライトオフィス情報発信ライター・磯部洋樹(いそべひろき)
スポーツフォース様のサテライトオフィスの位置付けは、①自社メンバーのワーケーションのため②社会人バスケットボールチームの合宿地の拠点、ということでした。
特にマリンアクティビティが盛んな南伊豆では、余暇はサーフィンなどを存分に楽しみ、仕事は静かなサテライトオフィスで集中して行うということが実現できているようでした。同じようなことを求めて南伊豆に来る移住者や二拠点居住者も多く、そのような人たちと積極的に交流を図ろうとしている山崎さんの様子も印象的でした。
合宿地としては体育館施設の課題もあるようですが、南伊豆にこだわらず、静岡県東部や伊豆エリアまで視野を広げているとのことです。それによってバスケットボールの普及がより広範囲にまで広がっていくことが期待されます。
まさにバスケットボールワールドカップで国内のバスケットボール人気に再び火が付いていることもあり、スポーツフォース様の今後の展開に注目していきたいと思います。
サテライトオフィスを開設した「旧杉並区職員宿舎」はこちら

旧杉並区職員宿舎
所在地:静岡県賀茂郡南伊豆町湊781