住まいは、人間の暮らしの土台となります。それは長期間滞在する場所でありながら、時には資産としても活用されることがあります。

リーシング・マネジメント・コンサルティング株式会社は、不動産にまつわる課題をマーケティング力で解決する企業です。焼津市にサテライトオフィスを開設し、地方での展開に一層力を入れています。

今回は齊藤 晃一さん(代表取締役社長)、濱砂 有希さん(コンサルティング事業部BPR推進室/焼津オフィス長)に、サテライトオフィス開設の経緯と今後の展望についてお話を伺いました。

会社概要

リーシング・マネジメント・コンサルティング株式会社
主な事業内容:賃貸住宅のリーシングマネジメントコンサルティング業務/仲介業者様向け訴求ヒアリングメディア「楽賃シートリスティング」の企画運営/リーシングコールセンターの企画運営/不動産マーケットに特化した広告代理事業
設⽴年⽉⽇:1986年9月
代表取締役社⻑:齊藤 晃一
Webサイト:https://lmc-c.co.jp/

本社所在地:東京都港区西新橋3-2-1 Daiwa西新橋ビル2F
焼津サテライトオフィス所在地:静岡県焼津市栄町1-1-32 アピオビル4-B

インタビュー対象者紹介

齊藤 晃一(さいとう こういち)さん
代表取締役社⻑
1976年生まれ。コンサルティングファームにて、大手飲料メーカー・大手製薬会社を始めとする、ダイレクトマーケティング事業の新規参入戦略立案・実行支援のコンサルティングを多数経験。その後、ITマーケティング企業の㈱ウェブクルーにて新規事業企画室長として10以上の新規事業の立ち上げ、グループ会社のM&A等を経験し、リーシング・マネジメント・コンサルティング㈱に参加。現在、同社の代表取締役社長として大手不動産ファンドやJ-REITポートフォリオの集客プロモーション(リーシング)戦略策定に携わる。「賃貸マーケティングの確立」をテーマに講演、企業研修、執筆など多数。 代表著書 「本気で満室稼働を考える人だけが読む本 」

濱砂 有希(はますな ゆき)さん
コンサルティング事業部BPR推進室長/焼津サテライトオフィス長
2016年4月入社後、フロントメンバーのアシスタントとして、業務に従事。2019年4月に業務推進室室長として、データの蓄積や各システムの開発、マニュアル作成やルール策定に従事。現在、BPR推進室長兼焼津サテライトオフィス長にて、焼津オフィスの管理と、プロセスの視点で、業務フローの見直し、社内システム構築などを行っている。

不動産の保有者が抱える課題をマーケティング視点からサポート

―まずは御社の事業概要について教えてください。
齊藤さん:当社は1986年に不動産管理を手掛ける三和ビルディング株式会社として創業しました。2005年12月にリーシング・マネジメント・コンサルティングとしてリスタートし、以後18年間、不動産にまつわる課題解決に尽力してきました。東京本社を軸とし、焼津サテライトオフィスに加え、大阪・名古屋に営業所があります。

当社の事業は、簡単に言えば「不動産の保有者が抱える課題について、マーケティング視点からサポートをすること」です。
例えば、大家さんが保有する物件の空室改善提案や購入予定物件にまつわるリサーチ、入居者属性調査、物件のプロモーションなど。各クライアントが展開する不動産事業を、コンサルティングを中心としたサービスで幅広くサポートしています。

―顧客にあたるのは具体的にどのような方々ですか?
齊藤さん:先ほどはわかりやすく「大家さん」と表現しましたが、個人ではなく「物件を保有する企業や投資家」が顧客です。
当社のクライアントは不動産事業を展開する電鉄系、財閥系、商社系の企業や不動産ファンドが中心です。いずれのお客様も、1棟あたり10億円以上の物件を購入・運用されているケースがほとんどですね。

▲代表取締役社長 齊藤 晃一さん
▲代表取締役社長 齊藤 晃一さん

―御社は不動産事業のサポートを中心に様々なサービスを展開していますが、現在の主力事業は?
齊藤さん:不動産事業は景気の良し悪しに左右されやすい傾向にあります。好景気の時期は、どのクライアントも物件の購入に積極的です。そのため物件調査の依頼が増えます。

しかし、ここ数年のコロナ禍においては、保有物件の空室率に悩むクライアントが増えました。当社の顧客は、5大都市圏(札幌/東京/名古屋/大阪/福岡)に物件を保有している方が中心です。いずれも人口が集中するエリアでもあったことから、コロナ以前は空室に悩むことも少なかった。しかし、コロナ禍で地方移住をする方が増え、これに比例するように空室も増えました。そのため、近年では空室改善の相談をいただくことが多いですね。

コロナ禍でのテレワーク導入がサテライトオフィス開設の転機に

▲焼津サテライトオフィス
▲焼津サテライトオフィス

―2023年3月に焼津サテライトオフィスを開設したきっかけは?
齊藤さん:まずテレワークを導入したことが大きな転機となりました。当社は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、2020年2月よりテレワークにシフトしました。コロナ禍以前のワークスタイルは、全員出社型。スタッフは毎日出社し、朝礼をしたのち、業務に移るのが当然の日常でした。しかし、コロナ禍で状況が一変しました。スタッフの健康を守るため、いち早くテレワークに移行しなければなりませんでした。

テレワーク中心の日々を送る中、スタッフを出社させずともオペレーションが回ることに気づきました。業務に支障がないのであれば、働く場所は問いません。これが「地方にサテライトオフィスを開設し、BCP(事業継続計画)対策の観点等から拠点を分散させる」という発想につながりました。

―御社は現在もテレワークが中心ですか?
齊藤さん:現在は、ハイブリッド形式ですね。スタッフのテレワークは週1、2回。出社とテレワークを組み合わせる働き方が定着しました。

―サテライトオフィスを開設し、地方に拠点を分散させたいと思った理由は?
齊藤さん:リスク分散が主な理由です。もちろんBCPの観点もありますが、それだけではありません。地方にサテライトオフィスを開設すれば、その地域の人材を確保できます。地域の人たちを雇用・育成することで、安定的な労働環境づくりと地域活性化が叶うと考えました。

ゆかりのある土地・焼津にサテライトオフィスを開設

―サテライトオフィスの開設地を焼津市にした理由は?
齊藤さん:ご縁があったからですね(笑)
私には焼津市でIT企業を開業していた友人がいます。私の前職時代の同僚で、現在は当社のパートナー企業としてシステム周りの仕事を依頼しています。彼に焼津市の給与水準や採用に関する話を聞き、「ここにサテライトオフィスを開設しよう」と決めました。

―現在、焼津オフィスに勤務している方は何名ですか?
齊藤さん:8名です。焼津市だけでなく、静岡市や藤枝市、吉田町など周辺エリアに住んでいるスタッフが通勤しています。オフィスが焼津駅から近いこともあり、電車通勤のスタッフもいますね。年齢層は20代から50代までさまざまです。

▲コンサルティング事業部BPR推進室長/焼津サテライトオフィス長 濱砂 有希さん
▲コンサルティング事業部BPR推進室長/焼津サテライトオフィス長 濱砂 有希さん

―焼津での採用活動について詳しく教えてください。
濱砂さん:サテライトオフィスの開設は2023年3月ですが、2022年5月より焼津での採用活動をスタートしていました。先ほど齊藤から話があったパートナー企業の代表の方にご紹介いただき、1人目のスタッフが入社しました。その後、求人情報誌などで募集をかけ、徐々にメンバーが増えていきました。現状、計画に沿って増員できています。採用に関してはあまり苦戦していませんね。

―焼津と東京本社で業務内容に差はありますか?
濱砂さん:大きな差はありません。もともと本社内で担っていた仕事を焼津のスタッフに振り分けています。

―拠点が離れていることで不便に感じることは?
濱砂さん:特にないですね。朝礼や打ち合わせは、WEB会議ツールを用いて行なっています。お互いの顔を見ながらコミュニケーションがとれるので、不便はありません。
また、私は東京在住ですが、毎週焼津を訪れ、焼津のスタッフと一緒に働いています。

焼津は人も環境も良く、働きやすい場所

―東京から通うのに不便はありませんか?
濱砂さん:焼津はアクセス面が良好な街だと思いますね。新幹線と在来線を乗り換えても、東京駅から1時間半ほどで到着できますから。

―焼津サテライトオフィスの周辺環境はいかがですか?
濱砂さん:いいところだと思います。駅から徒歩1分の眺望の良い場所です。
焼津には穏やかな時間が流れていると感じますね(笑) ランチで訪れた飲食店の店員さんも、皆さん気さくにお話をしてくれます。優しい方がたくさんいる街だと感じますね。

齊藤さん:私は約10年前、初めて焼津を訪れました。第一印象は、「駅前の雰囲気がすごく良い街」。港のほうに行けば、美味しいお寿司が食べられるのも良いなと思いましたね(笑)

当社の仕事はリサーチや分析など、集中力が必要とされる作業が多いんです。そのため人や交通量が多い東京よりも、焼津の方が集中しやすい環境かもしれません。

―東京本社のスタッフが焼津サテライトオフィスを訪れる機会はありますか?
齊藤さん:今年の開設後、全スタッフが交代で焼津サテライトオフィスを訪れています。例えるならワーケーションのようなかたちですね。朝は東京から焼津に出社して、現地のスタッフとともに働き、昼間は全員でランチに出かけます。東京から1時間半ほどで行ける、焼津の利点ですね。
普段は離れた場所で仕事をしていますが、この取組を通してスタッフ間のリレーションとコミュニケーションを図りながら、より連帯感を持って業務に臨める環境を整えていきたいと考えています。

地方でのサテライトオフィス開設に二の足を踏んでいる企業の多くが、「本社と離れた場所に拠点を作ること」に少なからずハードルを感じていると思うんです。でも、コロナ禍でテレワークを導入し、問題なくオペレーションを回すことができた企業は、特に心配ありません。
離れた場所であってもWEB会議ツールを活用すればスタッフ同士つながりを持てますし、たまに本社のスタッフが出張やワーケーションでサテライトオフィスを訪れるのも良いコミュニケーションの機会になるでしょう。

無理難題だと思わず、まずは一歩を踏み出すことで、事業の発展可能性がどんどん広がると思いますね。

サテライトオフィス開業にあたり焼津市の補助金制度を活用

―焼津サテライトオフィス開業にあたり、補助金制度などを活用されましたか?
濱砂さん:はい、 焼津市サテライトオフィス等設置事業費補助金 焼津市中心市街地活性化支援事業補助金を2段階に分けて活用しています。サテライトオフィスの什器やパソコン、その他設備は、これらの補助金を活用して購入しました。この他に、家賃の補助金(焼津市中心市街地空き店舗利活用事業)も活用しています。

▲焼津市サテライトオフィス等設置事業費補助金 チラシ
▲焼津市サテライトオフィス等設置事業費補助金 チラシ

齊藤さん:これらの補助金は、我々のような地方進出を考えている企業にとってとてもありがたい制度ですね。
また焼津市の方には、当社の事業や状況をご理解いただいた上で、申請の仕方を丁寧に教えてくださって、その対応にもとても感謝しています。

地域でのさらなる雇用拡大を視野に

―焼津サテライトオフィスでの今後の展開について教えてください。
齊藤さん:2024年以降も増員をしていく予定です。開設から半年が経過し、スタッフも増え、働く環境も整ってきたと実感しています。今後はいろいろな求人媒体を活用しながら採用活動に注力したいですね。求職者の皆さんに伝えられる焼津サテライトオフィスの魅力もどんどん増えていると思うので、より一層興味を持ってくださる方が増えると考えています。
スタッフ数の増加に伴い、サテライトオフィスを増床する可能性も出てくるかもしれませんね。

―リーシング・マネジメント・コンサルティングの今後の展望は?
齊藤さん:不動産業界は、日々、急拡大しています。常日頃からそのマーケットと向き合い、会社の規模やレベルを徐々に上げていきたい。これが私たちの掲げる中長期的な目標です。

サテライトオフィスで働く齊藤さん、濱砂さんに聞きました!

1 静岡県の好きなグルメは?
齊藤さん:お刺身などの海鮮全般ですね。港の定食屋さんが安くて美味しくておすすめです。
濱砂さん:マグロとチーズがくっついたサイコロ状の「まぐろチーズ」というおつまみが好きです。東京への帰りに買って、ビールのおつまみにしています(笑)

2 静岡県でおすすめ or 行ってみたい 場所は?
齊藤さん:焼津駅周辺や市内のことをもっと知りたいですね。まだ行ったことがない場所がたくさんあります。駿河湾に面した焼津グランドホテルにはいつか行ってみたいですね。
濱砂さん:私も代表と同じく焼津グランドホテルに行ってみたいです。

3 オフタイムの過ごし方は?
濱砂さん:昼休みや休憩時間は、散歩をしに港へ行っています。天気がいい日はとても気持ちいい。キラキラした海を見ながら、ぼーっとしています。

焼津市 鈴木さんコメント

サテライトオフィスの開設場所に焼津市を選んでいただき、大変うれしく思っております。今後、焼津オフィスが御社を一層活性化させる存在になってくだされば大変喜ばしいです。末永く焼津市に根付いてくださると幸いです。

静岡県サテライトオフィス情報発信ライター・佐藤優奈(さとうゆうな)

時代の移り変わりとともに、必要とされる仕事や働き方は多様に変化します。新型コロナウイルスの感染拡大とテレワークの定着を経て、同社は地方での新たなチャンスを掴みました。これからの展開をとても楽しみにしています。

【佐藤優奈プロフィール】